大橋ゆきおの雑学講座「税金と地方財政」


これは、私の市政だより15号に掲載した記事です。税金と財政の関係を分かりやすく書いたつもりです。しかし、読み返してみると説明不足と思われる点が数多くあります。質問等ありましたら連絡下さい。

1.税金の行き先と種類
 住民が何気なく(怒りを込めて?)支払っている税金には様々な種類のものがあります。給与から引かれている所得税、住民税。物を購入したときに価格に5%ついてくる消費税。毎年払っている自動車税。税金にはどの様な種類があり、国・都道府県・市町村のどこに行くのかを表したのが下の”税金の行き先”です。
税金の行き先



2.税金と御殿場市の財政
税金は国、県、市にそれぞれ振り分けられます。市にいった税金はそのまま市が使いますが、国・県に行った税金は、国・県がそのまま使うのではなく、市に戻される部分もあります。御殿場市は、平成13年294億の予算を組みましたが、どの様な財源構成かを解説します。



3.わたしの所見
 通常ですとここで御殿場市の財政状況について論じるところですが、今回は観点を変えて”一人当たり”と言うことをキーワードに分析を行ってみたいと思います。
@国民一人当たりが国・県・市に払っている税金(国・県・市税合計額/人口)=約70万円
A御殿場市民一人当たりが市に対して払っている税金(市税合計額/人口)=約16万円
B国・県から御殿場市民一人当に戻ってくる金額(国・県からの交付金等の合計額/人口)=約10万円
 御殿場市民は一人当たり70万円(@)の税金を払い、内26万円(@+A)が御殿場市の為に払っているということになります。残り44万円は、国・県の事業や財政力の低い自治体に回されるということになります。
 また、参考までに公債残高にて”一人当たりの借金”を計算すると次のようになります。
@御殿場市民一人当たりがしている借金(市債残高/人口)=約26万円
A国民一人当たりがしている借金(国債残高/人口)=約470万円
 上の金額を見て皆様は様々な感想を持ったと思います。ただ国民一人当たりの借金470万円には驚いた方も多いと思います。これからの行政運営というのは、税金等の歳入をただ単に使うのではなく、本当にその事業が必要なのか十分検証した上で事業化(予算化)する必要があると思います。


〜編集後記;田中康夫長野県知事に思うこと〜
田中康夫長野県知事の「脱ダム宣言」について考えるところがありましたので少しコメントさせていただきたいと思います。田中知事は自然保護の観点から「脱ダム宣言」をしましたが長野県の財政を考えると非常にリスクを背負っているのです。
 ダムを建設する場合、その財源の多くは県が負担するのではなく国が負担することになっております。例えばダム建設費が200億円だったとします。その内、166億円は国が負担することになります。(国庫補助金100億円、地方交付税の事業費補正増額分66億円)長野県は34億円分の起債と単独債(借金)により、200億円のダムが手にはいるのです。そして、ダム完成後は、地域の活性化や雇用創出が図られるということです。
 一般家庭に例えてみますと「既にパソコンを所有している家庭が、更にもう一台20万円のパソコンを欲しくなった時、34,000円のクレジットを組めば、166,000円は国の補助によりパソコンが手に入る。」こういった話しに乗らない人は少ないと思います。
ダム 国の制度がこうである(国庫支出や地方交付税制度等)限り、地方自治体の首長(知事や市町村長)は無駄な公共投資ではあると感じつつもその話しに乗ってしまうのは無理もありません。私は、田中知事の「脱ダム宣言」は国民の一人としては支持できますが、これがもし静岡県御殿場市の話だったら支持したかどうか分かりません。田中知事の政策に関し私は否定も肯定もしませんが「新しいタイプの知事である」ことは間違いないと思います。
 地方交付税制度は、財政力の低い自治体にも健全な行政運営を提供する公平性をもった制度ではありますが、反面、地方自治運営に対し過剰な公共投資を誘発するといった要素も持っていると思います。「いらないものは作らない」のではなく「いらないものは作れない」様な制度改革が必要だと思います。地方議員の一人としてその力の及ぶ範囲は限られておりますが、先の「わたなべ周議員」と連携してこういった問題にもとり組んで行きたいと思います。

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