02年03月一般質問ライブ

 02年03月の議会で7度目の一般質問を行いました。タイトルは「御殿場市における地方税制の展望について」です。不均一課税と、法定外普通税・目的税について当局の現状の考え方について質問しました。

不均一課税について
質問  地方税法6条1項及び2項に、公益上その他の事由に因り「課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができる。」「必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」とされている。当市においては、これらの制度は活用していないように思えるが、不均一課税に対しどの様な展望を持っているのか。
答弁   広く市民の利益を増進し、公益に準ずると認められるということは、市行政に対して多大な貢献をすることであり高く評価する。民間活力の導入にもなると考える。過去には都市再開発法第138条を根拠とし、耐火建築物の固定資産税に対し実施した等の経過がある。今後は、諸々の法律や税法の範囲内であれば検討研究し導入も考える。
法定外普通税・目的税について
質問  地方税法の5条3項及び7項に「法定普通税に規定するもの以外に、普通税を課することができる。」「法定目的税に規定するもの以外に、目的税を課することができる。」とされている。法定外普通税は20の地方団体が既に導入している。法定外目的税は、2000年の地方分権一括法により創設され、各地で導入検討の動きが見られるが、これらの制度についてどの様な展望を持っているのか。また、仮に創設を検討する際、逆進性があってはならないと考えるが見解はどうか。
答弁   地方団体において課税自主権の拡充のための大きなステップとして、活用が多いに期待できる。しかし、国と地方や地方と地方の行政間関係の問題、地域住民や利害関係者との合意形成等を鑑みると現状において導入は考えていない。課税方式は所得に応じた税目であれば累進が適当で、共通して使用するもの等は定額制が基本である。

 不均一課税については、地方税法で規定されているものの、その実施には大きな国の制限が存在しておりました。国の促進法が無い限り、この実施は難しいようです。裁判になっている自治体もあります。この制度をうまく利用すれば自助努力により、自治体の発展が出来るのですが、ここにも、国の大きな規制が地方自治体の発展を妨げております。
 法定外普通税・目的税については、各自治体において導入検討の動きが見られますが現状の御殿場市の財政状況(自主財源比率等)と目的税の根拠になる要因を考えた場合、現状において創設の必要は無いと考えておりました。例え検討するにしても受益と負担が一致し、累進性又は従量制を持った税制でなければならないと考えておりました。今回の当局の答弁はそれにほぼ合致したものでした。

まずは、私の一回目の質問から

 一般質問をさせて頂きます。
 質問の主旨を申し上げます。発言要旨にあります不均一課税、法定外普通税・目的税に関して、今まで議会の場で報告、或いは論議されたことは少なかったと記憶しております。これらの地方税について議場で問題提起を行い、御殿場市当局の現時点での公式見解を伺いたいと思います。そして見解をお伺いし、私の持論と照合・照会し、考え方の整合を取りたいということが質問の主旨であります。
 次に質問の背景を申し上げます。平成12年度における国・都道府県・市町村の合計税収入は約84兆円。それを補完すべく国債・地方債の合算は34兆円となっており、私が説明するまでもなく、シャウプ勧告以来の抜本的な税制改革をしなければならないことは明らかであります。又、間接税に着眼しても、自動車関連に対し、合計税収入の約10%、たばこ関連に対して約2%と、ある一定の製品・商品についての課税が税目・税率において偏重しております。更には、自動車重量税を一般財源に移行するという、極めて受益と負担が一致していない動きが見られる等、地方自治体や地方議会では手の届かないところで、税制政策が決定されていくことを憂慮しております。そして、国の法律や通達によって地方自治体の自主課税権には大きな制限が存在します。そういった中で、大きな制限の隙間を縫って存在している、不均一課税、法定外普通税・目的税についての展望をお聞きしたいというのが質問の背景です。
 まず、不均一課税について質問いたします。地方税法6条1項「地方団体は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができる。」そして、同法6条2項「地方団体は、公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」とされております。今回は、この二つに限定して質問をしたいと思います。二つに限定するといいますのは、同法の7条には受益に因る不均一課税として「地方団体は、その一部に対して特に利益がある事件に関しては、不均一の課税をし、又はその一部に課税をすることができる。」という条文がありますが、これにつきましては、昨年9月の一般質問の中で、当局は一定の見解を示されているので今回の質問の対象からは割愛いたします。 全国自治体での不均一課税の実施状況は聞くところによると700余の団体が採用しているとのことです。その内容の特徴としては、
@工業団地分譲販売促進に伴い、進出企業に対し優遇措置を設ける為のもの。
A市町村合併の際、旧市町村間の住民税の均等割り部分やその他の税率の違いを時限的に据え置くもの。
B産業振興のため生産設備導入の際の設備に対する固定資産税率の引き下げ。
等のものがあるようです。当市におきましては、私が見る限りこれらの制度は活用していないように思えます。
 しかしながら、現在、当市は、企業立地奨励事業補助金、小口資金融資促進利子補給事業、勤労者住宅建設資金貸付事業、農業経営基盤強化資金利子助成事業など、不均一課税による優遇処置と同様の事業を行っていることを認識しており、高く評価するところです。
 ここで、質問ですが当市は不均一課税に対し、どの様な展望を持っているのか?ご答弁をお願い致します。ここでいう展望とは、
1.不均一課税制度に対し、御殿場市当局はどの様な評価をしているか(思いを持っているか)?
2.過去に導入検討をしたことがあるのか?
3.今後、調査や研究をする計画或いは導入に向けた検討をする計画があるか?
以上、3項目です。
 次に法定外普通税・目的税について質問いたします。地方税法の5条3項に「市町村は、前項(これは法定普通税ですが)に掲げるものを除く外、別に税目を起して、普通税を課することができる。」とあります。2000年の地方分権一括法により許可制から協議制へ変更されたという経緯もあります。全国自治体での実施状況は20団体が導入と聞いておりますが、核燃料関係、石油価格関係、砂利採取関係、別荘関係などがあります。法定普通税に鉱産税というものがありますが、今申し上げた砂利採取税などは、法定内から法定外に置き換えた受益と負担が合致した税制ではないかと評価出来ると思います。
 次に、地方税法の5条7項に「市町村は、第四項及び第五項(これは法定目的税ですが)に規定するものを除くほか、別に税目を起こして、目的税を課することができる。」とあります。これらについては、全国の自治体では、宿泊、魚釣り、買い物袋の受領、自転車放置等に課税することを検討或いは実施しておりますが、正確な数はつかんでおりません。これらは、特別地方消費税の復活を思わせるものや受益と負担の不一致を思わせるもの等、形態は様々ですが、導入検討の動きが高まっていることは確実です。そうした背景の中で、法定外普通税・目的税に対しどの様な展望を持っているのか?ご答弁をお願い致します。ここでいう展望とは、先の質問と同様の3項目です。

御殿場市一回目答弁(渡辺勝市民生活部長)

 不均一課税制度に対し、どの様な評価をしているか、思いを持っているかのご質問でありますが、地方税に定められている不均一課税は、個々の市町村が独自の判断で一定の者に対して、一般の税率より低い税率で課税することとされております。不均一課税には二種類あります。
 そのひとつは「公益上その他の事由により必要がある場合」であります。公益上の事由とは課税対象に対し課税しないことが直接公益(広く社会一般の利益)を増進する場合、すなわち、広く住民一般の利益を増進すると認められる場合をいい、その他の事由とは、公益に準ずる事由をいうものと解されております。公益上その他の事由に該当するかどうかの具体的事例にあたっての判断は極めて困難であります。
 公益上の事由があるものとして法律が認めたものには、低開発地域工業開発促進法第5条、国際観光ホテル整備法第7条、新産業都市建設促進法第22条、地方鉄道軌道整備法第23条、産炭地域振興臨時措置法第6条、工業整備特別地域整備促進法第11条、過疎地域対策緊急措置法第22条、農村地域工業導入促進法第10条、工業再配置促進法第7条等があります。
 また、総務省の通達・行政実例では、公有水面埋立法の規定による埋立地の固定資産税等のような産業政策的目的に基づくもの、日本赤十字社の設置する看護師寄宿舎又は社会福祉法人の設置する看護師養成施設の用に供する固定資産等の社会政策的目的に基づくもの、法人でない各種学校について収益、管理等の面から法人である各種学校等との均衡上真にやむを得ないものと認められる場合等負担の均衡を考慮したもの等が該当することとされております。
 もうひとつは、受益による不均一課税であります。(地方税法第7条)地方税は、応能原則とともに応益原則を加味して構成されるべきとされ、地方団体が提供する行政サービスには、住民の福祉に直結するものが多いが、その中でも特定の地域の者が特にその行政サービスを享受する場合があります。この場合には、それらの者がその享受する利益に応じて対価を支払うことが適当であると考えられます。このような場合に、その受益に応じた負担を求めるために受益者に対してある税目の税率を高くして課税するものであります。
 また、他の法律による不均一課税としては、合併関係市町村の間に地方税の賦課に関し著しい不均衡がある場合などにおいて、その全域にわたって均一の課税をすることが著しく衡平を欠くと認められる場合において、一定期間、不均一課税をすることができます。(市町村の合併の特例に関する法律第7条)
 不均一課税について述べましたが、評価といたしましては、広く市民の利益を増進すると認められ、また公益に準ずると認められるということは、市行政に対して多大な貢献をすることであり高く評価するものであります。民間活力の導入にもなると考えられます。

 過去には不均一課税としては、御殿場市税賦課徴収条例第62条の2第1項で都市再開発法第138条の適用を受ける耐火建築物に対しての固定資産税の税率の軽減5年間、100分の1.05としたこと、また同条第3項で国際観光ホテル整備法第3条の登録を受けたホテル業又は旅館業に対しての固定資産税の税率の軽減5年間100分の0.7でありますが、国際観光ホテルについては継続中であります。その他特別土地保有税の非課税土地に関する条例を設置し6年間の間取得に対して非課税地した経緯があります。これは不均一課税ではなく地方税法第586条による市の建設に関する基本構想に即する用途であるとした土地を適用しています。
 今後のことでありますが、広く市民の利益を増進すると認められ、また公益に準ずると認められるということであり、諸々の法律や税法の範囲内であれば検討研究し導入も考えられます。この場合にも議会の議決が必要となることから条例化することとなります。

 法定外普通税・目的税についてですが、地方分権一括法により法定外普通税の新設・変更について総務大臣の許可制から事前協議制へと変更されました。また、法定税目についても標準税率を採用しない場合の国への事前届出制の廃止や、個人市民税の制限税率の廃止がうたわれました。地方自治の重要な要素である地域住民の合意と責任に基づいた課税自主権の拡充のための大きなステップとして、これらの緩和措置の意義は大きく特に、地方固有の条件から自主的に設定が図られる法定外普通税は、地方公共団体において、今後その活用が多いに期待できるものといえます。法定外普通税の新設等を考えるに当たっては、国と地方そして地方と地方の行政間関係の問題や、地域住民そして利害関係者との合意形成、そして受益者負担金や目的税との関係であります。行政間関係の問題とは、行政間の競合が生じる恐れがあること、またある地域での法定外普通税の導入が、物の流通に重大な障害を与える等他の地域に何らかの不利益(外部不経済等)をもたらすことであります。これまでに税源競合のケースとして、昭和30年代に奈良市と奈良県で文化観光税をどちらが設定するかで疑義がありました。他地域への影響としては、迷惑施設への課税が近隣地域へのそれらの施設の移出をもたらす場合、合意形成については、新税導入に際し、地域住民の合意を得なければならないことは当然でありますが、それ以外にも利害関係者として例えば税の特別徴収義務者等の合意が重要な要素となります。特別徴収義務者の合意が得られずに廃止を余儀なくされた有名な法定外普通税として、昭和60年代の古都保存協力税(京都市)があります。負担金や目的税との関係は、法定外普通税は普通税であるが、実際の運用上は法定税目の隙間課税的存在から、地域の特殊性や原因者負担そして受益者負担に基づいた設定がされやすく、地方自治法における既存の受益者負担金や法定目的税との線引きが不明確となる点であります。このように法定外普通税は、その種類や内容、そして特質や問題点において、非常に個別的かつ即効的で地域性に根差したものであります。従いまして、その活用の仕方如何では、地域内における様々な目的達成のための手段となるものと考えられます。
 法定外目的税についても、創設の根拠は、住民の受益と負担の関係が明確になり、また、課税の選択の幅を広げることにもつながる。という理由に基づいています。その設定方法については、法定外普通税と同様の事前協議制となります。目的税としてその使途についてはその受益や原因と直接関係した特定なものに限定されます。従いまして条例には明確にその使途制限が盛り込まれます。環境に関するダイオキシンに関する税、東京都のホテル税等が考えられます。目的に沿った税目となるため、有効な手法として機能するものと考えられます。今日までに、当市においては検討した経過はありませんが、例えば環境に対する受益とその整備に対する負担の考えや、特殊な事業は考えられますが、当分は考えておりません。



そして、二回目の質問へ

 再質問をさせていただきます。
最初に不均一課税についてですが、当局の答弁を確認させていただきます。
 まず、法律6条の解釈についてですが、「公益上」と「その他」の2つの事由により、広く一般住民の利益を増進すると認められた場合、実施が可能である。「公益上の事由」の根拠となるものは、国の種種の促進法の施行や通達等に伴い、「公益である」と認められたもの。「その他」の事由についてはその具体的な該当事例の判断が極めて難しい。次に、評価としては、市行政に対し多大な貢献をすることであり、民間活力の導入になり高く評価をしている。過去の不均一課税の実施については、都市再開発法や国際観光ホテル整備法等を根拠に実施したことや不均一課税ではないが、特別土地保有税の非課税(これは駒門工専かと思いますが)実施したことがあるということでした。これについては私の認識不足であり大変失礼致しました。今後の展望については、種種の法律の範囲内であれば導入も考えられると、この様に理解いたしました。
 只今の答弁にて現況の評価、過去からの取り組み、今後の展望の概況は理解いたしましたので、細部について再質問を行います。答弁が「公益上」と「その他」の事由という2つの切り口でされておりますので質問もそれに併せて行います。
 
まず、「公益上の事由」ですが法律などを根拠に研究して行きたいとの事ですが、その情報収集や研究体制をどの様に行って行くのかということです。1つの例ですが、「中心市街地活性化の法律」があります。その中の支援措置として、不均一課税を行った場合の減収補填という項目があります。こういった国の法律施行や基本方針の通達或いは通達以前の動向を、誰が情報収集し、誰が調査研究し、認可・不認可を誰が決めるのか等、その体制をご答弁願います。
 次は、「その他の事由」ですが、該当事例の判断が難しいとの事ですが、この解釈について多方面で論議されていることを私も認識しております。先程の中の「判断の難しさ」を明確にしたい意味での質問となります。これも例をあげますが、ある地方公共団体で、NPO法人に対しての減免を決めております。その際、根拠となる法律は、地方税法の6条(不均一課税)は適用することが不可能で、地方税法323条(市町村民税の減免)をもって決定したと聞いております。これは「その他の事由」の解釈の違いが国と地方の間であった為と聞いております。ここで質問ですが、「具体的な該当事例の判断が極めて困難」というのは、只今の様な事例と考えますが、その詳細について答弁をお願い致します。又、更に不均一課税の代替として323条を視野に入れているのかご答弁をお願い致します。 次に法定外普通税・目的税についてですが、答弁では「現状において考えていない」と言うことでした。結果から言いますと了解とさせていただきます。
 答弁を確認させていただきますと、法定外普通税については活用は大いに期待できるが、周辺自治体との整合、利害者や特別徴収義務者等との合意形成、法定目的税・負担金等との線引きの問題が存在する。法定外目的税については、受益と負担の関係が明確になり課税の巾を広げることから有効と認識していると理解致しました。
 私は、現状の当市の自主財源比率等を鑑みた場合、更に目的税の原因となる事項を検索した場合、現状では法定外普通税・目的税の創設の必要性は少ないと考えております。そのような理由から了と致しますが、昨今における他の自治体の創設の動向を見た中で、一般論として2〜3点確認しておきたい項目がありますので、質問を致します。
 ある自治体の例ですが水源確保のために森林整備が必要になってきたときに、AとB二つの案を時限付きの課税として考案しております。A案とは法定外目的税を設け、住民と事業者の水道使用量に関し1mあたり1円を課税するというもの。B案とは住民税の均等割り部分に超過課税を採用し年間一律500円課税するというもの。AとB同じ目的達成の為に考案中の案件ですが、B案について問題があると思います。本来、税制というものは、
@受益と負担が一致していること。
A累進性又は従量制であること。
この2つから逸脱してはいけないと考えております。B案においては、事業者には非課税となり受益と負担の不一致、均等割り部分に一律超過課税という逆進性の要素を持っております。又、昨今、課税ベースを外形標準課税にする動向がありますが、これも累進性から逸脱したもので、経営者の営業意欲の喪失や、労使関係の悪化を誘発し、地方税にはなじまないのでは考えております。
 私は、法定外課税と言えども、この二つの原則は堅持しなければならないと考えております。ここで質問ですが、仮に法定外課税を検討する際、受益と負担、累進性についてどう考えているかご答弁をお願い致します。


御殿場市二回目答弁(渡辺勝市民生活部長)
 法律や通達の動向の把握でありますが、官報や広報、国、県を通して担当課が収集し、税担当課が調査研究し採用か不採用かその判断を市長が決定し、条例の改正議決を得るものであります。「具体的な該当事例の判断が極めて困難」の詳細についてでありますが、地方税法また、他の法律に基本的判断材料が明確にされていない為、どれだけ広く住民一般の利益を増進するか解釈によって市行政に不利益をもたらすことまた、法律違反になるがためであります。具体的には不均一課税は県国の報告事項でもあり交付金等に影響が出ることもあります。地方税法第296条では非課税規定があり社会福祉法人等が非課税となります。しかし収益事業を営む場合には課税となります。この法律の規定にない法人が対象となると思われます。この場合、公益の法人で収益事業を営まない者は、地方税法第323条を視野に入れていくこととなります。御殿場市においても御殿場市条例で特定非営利法人で収益事業を営まない者は減免としてあります。受益と負担・累進性でありますが、法定外課税を検討する場合、税の公平性から、不公平のない受益と負担が一致することを基本としなければならないと考えます。累進性でありますが、対象とする税により変わると思います。所得に応じた税目であれば累進が適当で、市民が共通して使用又は利用するもの等は定額になると思われます。



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