03年03月一般質問ライブ(03/03/19)

 3/6に一般質問を行いました。主に市場公募債について質問を行いました。市当局の答弁は、予想に反して?「検討する」でした。
 昨今の個人向け国債や東京都債の売れ行きを見ていると住民の需要は高いと思っておりました。市当局の積極的な姿勢を評価し質問を終わりました。

御殿場市における地方債の在り方について
質問

■適債性について
毎年、国から地方財政計画の中の起債計画によって適債事業としてメニュー等が詳細に示される。それを標準書として起債や予算編成を行っていると想像するが、どの様なことを留意しているのか。又、国と地方の適債性の考え方の相違はあるか。
■繰り上げ償還について
地方財政法は、剰余金が生じた場合の措置として、1/2という数値の附帯をもって繰り上げ償還と基金積み立てを奨励していると考えるが、当市の実情はどうか。

■市場公募債導入検討について
繰り上げ償還に着眼すると政府債、縁故債ともに困難な状況である。それならば、起債における利子を市民に還元するため、市場公募債の導入を図ったらどうか。先日の個人向け国債の販売実績をみても住民ニーズは高いと思うがどうか。

答弁 ■適債性について
10年先を目安に起債計画を立てている。この中ではプライマリーバランスを重視し、借入額の抑制に努めている。

 国庫補助事業については、適債事業となるが、単独事業については、
自治体の状況等を考慮した中で、適債性の範囲の拡大、充当率や起債可能額の制限緩和などを望んでいる。
■繰り上げ償還について
政府資金については、繰り上げ償還の対象団体になっていない。縁故債については、指名入札方式を採用しており、その時点で契約が成立している。金融機関との調整が必要になるが、合意には難しい部分がある。
■市場公募債導入検討について
最近になり、地方債許可方針が改正され、市場公募債に加え、住民参加型のミニ市場公募債など資金の多様化が図られている。ミニ公募債は協動で事業を進めるという意識の醸成図られること等を考慮すると、選択肢の一つであると認識している。対象事業や引受機関等、課題はあるが検討していきたいと考える。
新聞記事
日刊静岡 岳麓新聞



まずは、私の一回目の質問から

 一般質問をさせていただきます。今回の質問は「御殿場市における地方債の在り方」についてと「御殿場市における個人市民税の収入未済・不能欠損額の状況と対応」についての2項目です。
 まず、地方債の方から質問いたします。質問は、大きく2項目です。1つが「起債の時の留意点」。2つめが「繰り上げ償還」です。
 まず、留意点についてですが、これは過去の議会答弁を切り口に話をさせていただきます。01年の9月議会において私が公債費比率において質問をしたところ当局の答弁は概略次のようだったかと記憶しております。
@年度毎17億円の起債計画を立てている。これは、具体的な事業を想定したものではなく、長期的な財政健全化維持計画の中でのガイドライン的な数値である。
A起債は年度間の財政調整機能を持っており、後年度負担が妥当と考える事業に対し有効に活用する。つまり、適債性を考慮し有効活用を図るということ。しかし、全ての適債事業に起債を充当することは財政的に大きな後年度負担になるため慎重に判断したい。以上の様な答弁であり、地方財政法に準拠し、それに沿って実施していることが概要かと思います。
 それでは、先の答弁内容がどの様に実施されているか01年度決算時の起債の状況をモデルに検証してみます。まず、14個の事業に起債があり、合計総額が21億円余。内、臨時財政対策債と前年度からの繰り越し分を省くと17億円程度になり、起債計画の中に収まっているかと思います。事業別に検証しますと、ほ場整備関係、道路関係、公園関係など適債性も確保されていることがうかがえます。総括しますと過去の答弁内容を遵守されていると評価させていただきます。
 一方、地方債をめぐる国などの規制と当市の実情についてはどの様になっているのでしょうか?一般的な事例で国内の歴史を鑑みると、昭和52年に東京都において起債訴訟問題が発生しました。これは地方自治法250条を根拠とする地方債許可制度は地方の財政自主権を著しく制限するものであり「違憲・無効」である、との主張でした、が議会がこれを否決し訴訟には至りませんでした。こういった事例からも、規制によって、起債の自由度というものが制限されているように考えられます。
 これらの制限については、地方分権一括法により、06年度から起債については許可制から協議制に移行されるなど規制緩和が予定されておりますが、一方では適債事業の明確化が法令においてなされるなど規制強化の要素も存在していると考えられるところです。
 次ぎに当市においての実情はどうでしょうか?私が想像するには、質的標準である地方債許可方針と量的標準である地方債計画を標準書として、当市の起債計画や予算編成を行っていると推察するところです。ところが質的標準の地方債許可方針においては、事業の種類別に「充当率」や「地方交付税における基準財政需要額への算入率や補正係数への算入率」、更には資金の種類等が規定されております。また、量的標準の地方債計画においては、その名の通り量的な規制があり、一つの指針として活用されていると想像いたします。
 ここで、質問ですが、起債の際には、様々な規制を考慮しながら実施すると思いますがどの様なことを留意されているのでしょうか。又、市民需要を受け一つの事業を計画し、且つ適債性が確認され、起債を行おうとした際、これらの規制によって、起債を見送ったり、事業を中止又は延期したり、起債せずに事業を行った実例などは過去にあったでしょうか?又、これから起こりうることは考えられるでしょうか?
 次ぎに、繰り上げ償還について伺います。こちらも過去の議会答弁を切り口に質問いたします。昨年9月の決算議会において厚見議員が繰り上げ償還について質疑をしております。その時の当局の答弁は概略次のようになっておりますまず、縁故債ですが、
@98年度と99年度において、5件の繰り上げ償還と3件の低利子への借り換えを行ってきた。
A01年度においてはキャップ性の変動金利に切り替えた。
Bこられによって4%以上の縁故債については利子の縮減を図った。
 次ぎに政府債ですが
@起債制限比率が14,15%といった制限によって、当市は繰り上げ償還の対象団体になっていない。
A元金に補償金をプラスして償還する方法も有るが、この額が後年度の利子と同額程度になってしまいメリットがない。
これらの答弁を総括いたしますと、努力・検討・実施されていることがうかがえます。評価できることと思います。
 一方、法律と照会してみると、どの様な状況でしょうか?地方財政法7条は「地方公共団体は、各会計年度において歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合においては、当該剰余金のうち二分の一を下らない金額は、これを剰余金を生じた翌翌年度までに、積み立て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない。」と、規定しております。単純に解釈すると、基金積み立て又は繰り上げ償還を、1/2という数値の指標を附帯し奨励しているように解釈できます。
 しかしながら、実情は国の運用面の規制によって政府資金はその適用から除外されているような気がしてならないのです。地方債の国内資金は、私が言うまでもなく、政府資金、公営企業金融公庫資金、民間資金、特定資金などがありますが、実際に繰り上げ償還運用の対象になるのは民間資金の内の縁故債だけというように考えられます。政府資金が長期に渡って低金利で借りだし可能な安定した基金であるため、繰り上げ償還には適合しにくいという定説も理解はできますが、縁故債の繰り上げ償還も民間金融機関の経営計画を不安定にさせたりする要素を持っているのではないでしょうか?
 ここで質問ですが、投資の繰り上げ償還の実情についてご答弁を頂ければと思います。その際、先に述べました地財法との整合の実情についても合わせてお願いいたします。

 次ぎに大きな2つめの個人市民税について質問をさせていただきます。質問におきましては市税の内の個人市民税をモデルに質問をいたします。質問の前に、私の認識を申し上げます。01年度の徴収率は決算カードから抽出すると現年課税分で、個人・法人合わせ98.5%と高い値を示しており、当市の税徴収行政は優秀であるという認識の元に質問をいたします。そうした前提のなかで質問をするのは、例えば01年度において発生した収入未済は現年・滞納あわせ2億8000万円、不能欠損は2800万円。これだけの税収があればいったいどんな投資的な事業ができるのであろうか、という思いにたった事が理由です。
 それでは、小さな一つ目の質問です。01年決算において予算現額が39億9000万円、調定額が40億9000万円、収入済額が40億1000万円。これらは収入済額が予算現額を上回り且つ徴収率も98%近くありますので、評価でき得る数値と考えられますが、当局はどの様に評価しておりますか?他市との比較を交えながら答弁いただければと思います。
 次ぎに小さな二つ目の質問です。徴税費は適正な値でしょうか?これは、個人市民税だけに按分するのは難しいと思われますので(法定)市税の徴税費全体の値でどの様に評価しているのか答弁をお願いいたします。評価の手法ですが、「税務職員一人あたりの世帯数・人口数」とか「住民一人・一世帯あたりの徴税費」という様な手法で、平準化された数値で他市との比較を交えながら答弁いただければと思います。
 次ぎに小さな3つ目の質問です。財政関連の書籍によりますと、収入未済とは「何らかの理由により出納閉鎖期日までに納入されなかったもの」、不納欠損とは5つ程定義がありますが主なものは「5年間の消滅時効が完成したとき」「地方税の減免を条例に基づき決定した場合」となっております。これらの定義の中で地方公共団体として誤ってはいけないことは、担税能力が高いと思われる住民に対し時効を成立させてしまったり、担税能力が極めて低い或いは皆無の住民に対し、収入未済としてカウントし恒常的に納入要請を行うことである、と考えております。そういったことを防止するため、当局はどの様な活動や工夫をされているのかご答弁をお願いいたします。

御殿場市一回目答弁(杉田企画部長)
 まず、最初に当市における地方債のあり方についてお答えをさせていただきます。
 1点目の起債の時の留意点につきましてですが、起債は現在、議員ご案内のとおり許可制がとられ、この許可を得て、はじめて借入が可能となります。起債の対象となる事業につきましては、毎年、国で示される地方財政計画の中の起債計画で、適債事業としてメニュー等が詳細に規定されており、この条件を満たすことが、起債許可の前提となります。
 当市においても、この起債事業の選択の際には、適債事業を抽出した上で、例えば公共施設を整備するという事業が、後年度にわたる世代間の公平性の観点からみて、後年度において、応分の負担をしていただくことの適否を検討するとともに、その起債償還金の、普通交付税算定上の有利性等を考慮しております。
 また、議員ご指摘の量的標準としての地方債計画ですが、当市では起債残高の縮減や公債費の安定を目標に、10年先を目安に起債計画を立てておりますが、この中では公債費と借入額のバランスでありますプライマリーバランスを重視し、借入額の抑制に努めております。
 次に、規制によって生じる起債や事業の変更についてですが、年度中途で事業が、補助事業から単独事業への変更、あるいは、新たに、より有利な起債の追加などの場合においては、起債総額を見込んだ中で、起債のとり止め、充当事業の変更などの措置は行っておりますが、起債が対象外になったことにより、中途で事業を中止した実例は、いままでなかったと認識しております。起債事業は、通常、3か年実施計画に掲げられた主要事業でありますので、3か年実施計画を基本とした、行政運営の推進の観点からして、今後につきましても、従来と同様に進めたいと考えております。
 次に、2点目の縁故債の繰上げ償還の実情についてお答えします。
 縁故債は、銀行等民間金融機関による指名競争入札方式により、借入先を決定しておりますが、金融機関では、起債の償還期間等の市の条件に従い、償還期間までの金融状況あるいは、将来の収支などを総合的に見通した上で、金利を検討し、入札に参加しております。したがいまして、金融機関としては、市に融資する場合には、償還期間まで、契約が継続するものとして、判断しております一方、市としましては、バブル崩壊後、超低金利が継続する中で、借入利率と、現行利率の間に、相当のギャップが発生しておりますことから、繰り上げ償還等の交渉を行ってきましたが、金融機関としての原則や認識などから、繰り上げ償還については、一部を除き、合意が得られないのが実情であります。
 また、地方財政法との整合性についてでありますが当市においては、剰余金の処理については、これまで主として基金に積み立てし、繰り上げ償還につきましては、金融機関との調整が完了し、可能な場合には、必要額を公債費に計上し、対応してきたところであります。


御殿場市一回目答弁(渡辺総務部長)
 最初に、「予算現額と調定額と収入済額の整合性」についてお答えいたします。議員御指定の平成13年度個人市民税の現年分、滞繰分合計した予算現額は39億9,400万円,調定額が43億6,100万円、収入済額は40億6,200万円余で、徴収率は93.14%となっております。現年分のみの徴収率を見ますと97.99%で、近年維持してきた98%台を、僅かながら下回る結果となったところであります。この現年分の徴収率を、県内21市の状況と照らし合わせますと、本市は静岡市、清水市、三島市と同率で,順位は10位となっております。因みに、1番良かったのは袋井市で98.9%、反対に悪かった市は95.1%であります。近隣の市では裾野市が第2位の98.6%で、三島市は本市と同率10位、沼津市が97.3%で18位となっております。以上申し上げましたとおり、本市は21市の丁度中間に位置し、なおかつ全市の平均値である97.7%を上回っていることから、個人市民税については、他市との比較という中では、今後とも徴収率向上に向け、なお一層の努力は当然必要とする半面、一定の評価はいただけるのではないか、と考えるところであります。
 続きまして、第2点目の「徴税コストの現状」についてお答えいたします。様々な都市形態等により、一概に比較するのは難しい面もある訳ですが、平成14年度の状況を申し上げますと、税務職員数は37人、人件費を含んだ徴税費総額は当初予算額で3億8,800万円余であります。この態勢をもって27,975世帯、84,100人余の市民、その他、本市に納税義務を有する市外の納税者に係る税務事務を執行しております。これらの数字から、議員御指摘の平準値を算出しますと,まず税務職員1人当たりの世帯数は756世帯、同じく人口は2,274人。1世帯当たりの徴税費の額は13,883円、1人当たりでは4,616円となります。この数値を比較するため、本市を含め10市を抽出し、その平均値を見てみますと、税務職員1人当たり世帯数は851世帯で95世帯本市を上回り、人口では2,392人で118人、本市を上回っております。これは世帯数及び人口に対して、本市の職員数は平均より多いことを示しております。また1世帯当たりの徴税費は11,352円で2,531円本市を下回り、1人当たりは4,041円で575円本市を下回っております。これは世帯数及び人口に対する徴税費が、本市は平均値より高いことを表しております。総体的に見ると徴税コストは、大きな市や、県西部の徴収率の良い市ほど低く、伊豆地域等の徴収率の悪い市は高い傾向にあります。そうした中で本市は、近隣の裾野市や富士宮市と同程度の数値を示しており、なおかつ10市の平均値との開きも、特段大きなものではないことから、適正な徴税費であると考えております。
 3点目の「収入未済と不納欠損額の現状」についてお答えいたします。まず、各決算における不納欠損処分は1地方税法第18条の規定に基づく消滅時効 2地方税法第15条の7滞納処分の停止の要件に該当  の2点によるものであります。消滅時効完成による不納欠損処分につきましては、平成13年度決算では14件、51万円余で、不納欠損処分全体に対する割合は、件数が2.7%、金額が1.8%となっております。また、滞納処分の執行停止該当につきましては、その1として、滞納処分する財産がない場合、2として生活困窮の場合、3として納税者の所在と財産が、ともに不明の場合で、この3つの要件のいずれかに当てあてはまるとして、滞納処分の執行を停止し、その状況が3年間継続したときには、納税の義務が消滅するとなっており、この段階で不納欠損処分することとなります。また、財産がなく、税の徴収ができないことがあきらかなときは、直ちに納税義務を消滅することができるとなっており、この場合も、不納欠損処分することとなります。なお、担税能力がありながら滞納している納税義務者につきましては、財産の差押等により時効の中断を図り、税負担の公平性と、租税債権履行の確保に努めているところであります。
 一方、個人市民税につきましては、所得と納税がリアルタイムで連動しないことから、納税段階での担税力を失っている納税義務者も、少なからず存在しております。このようなことから収入未済となり翌年度以降へ繰り越される滞納税につきましては、直接訪問し分割納税等含めて納税を促す滞納整理や、給与、預金、資産等の財産調査等を、均一かつ積極的に実施し、そうした活動を通じて滞納者の実情把握に努め、前段申し上げました差押による時効の中断や、滞納処分の執行停止について、適正な判断のもと、公平、公正な適用を図っているところであります。こうしたことにより、税負担の公平性の確保は当然最優先するものの、訪問や各種調査で生活困窮が明白な滞納者に対する過度な納税催促や、安易な税金逃れには、地方税法国税徴収法等、関係法令に基づき、適正に対応しております。

そして、私の2回目の質問へ
 再質問をいたします。
 大きな1つめの小さな1項目めの地方債の留意点についてです。答弁を確認いたしますと、「毎年国から地方財政計画が提示される。この中には、起債計画も含まれ適債事業としてメニューなどが詳細に規定されている。そして、当市はその中から適債事業を抽出し、更に当市としての適債性を検証し、交付税措置優位性などを検証し起債を決定している。また、年度中に補助事業から単独事業への変更やより有利な起債の追加などが発生した場合は、取り止めや充当事業の変更などを行い柔軟な対応をしている。起債が対象外になったことにより事業の停止の実例はない。なぜなら、起債事業は3ヶ年計画に盛り込まれた主要事業であり、行政運営の基本的な考えからも、過去にも今後にもあってはないことである。」というように理解いたしました。
 つまり、簡単にいうと、「市民の需要を受け事業化決定したものは起債においては十分事前調査もしてあるし、年度中に国の何らかの変更があったとしても、御殿場市において対応できる事象である。」とこんな感じの答弁だったと思います。
 概ね、了解といたします。くどいようですが、確認の意味で質問いたします。適債性について国と市の間で考え方の相違はないか。つまり、国が示す適債事業に対し、市として適債性を求める事業が一致しているかどうかということです。
 次ぎに小さな2項目めの繰り上げ償還について伺います。縁故債についてのみ答弁があったわけですが、内容を確認いたしますと、「借り入れは指名入札方式を用いている。剰余金が発生し、繰り上げ償還の必要性が出てきた場合は金融機関と調整を行うが、入札時点で契約が成立しているため、合意を得にくいのが実情である。又、地財法との整合だが、基金積み立てを基本とし、繰り上げ償還については可能な範囲で行っている。」というように理解いたしました。
 国の法律や規制の中で、当市の財政担当においては起債・償還において様々な検討を行い対応されていることが理解できますし、評価すべき対応かと思います。御殿場市の対応については了解いたしますが、ここで、一つの問題があるのではないかと思うわけです。
 先の質問で、地財法7条で、繰り上げ償還の可能性を規定している旨申し上げました。1/2という具体的な数値目標を附帯し、同条4項には剰余金の計算については、政令でこれを定めると、唱っております。この文章を読む限り、国は繰り上げ償還を奨励しているように思われます。しかしながら、その運用面はというと、政府資金については一般的にそれを認めておらず、制令で定めるとなっている計算方法も見つけることができませんでした。99年度の単年度措置として、一部起債制限比率が高い自治体に対し緩和措置が行われた程度になっております。民間資金については先程からの当局とのやりとりの中で明らかになった通りで困難を極めるような状況で、低利への借り換えをできる範囲で行っているのが実情です。つまり、繰り上げ償還を規定した法律は空文化された状態で放置されているという問題が存在していると考えます。
 しかしながら、これらは国の法律や規制の問題であり、この市議会の場で論戦を交えても問題解決できにくいことは、十分承知しておりますし、市民生活に直接的な影響が薄い事項ですのですので、あえて当局に対して答弁・所見は求めません。
 ここで、提案したいのは、当局においては新たな借入先を検討されたらどうかということを提案いたします。市場公募債の導入を検討されたらどうでしょうか。
 それを提案する根拠として、少し説明をさせていただきます。まず、法律上は全ての地方公共団体が発行できるシステムになっております。しかしながら、許可制が採用され、希望する自治体から要望書が提出され、総務省が指定通知書を発出するという手続がとられます。選定基準ですが、過去において大量の縁故債を発行し、将来においても民間資金の大量調達が見込まれること。市場での公募に耐え得るような一定の知名度を有していることなどです。
 発行形態ですが銀行などが受託会社となり、受託会社を含む銀行団と証券会社がシンジケート団を構成し募集取り扱いを行うと、いったようなシステムになっており、地方債計画のメニューをみても殆どの適債事業の資金調達先として民間資金や市場公募債として記載されております。
 現在は都道府県と政令指定都市の28の自治体が発行団体に選定されており、例えば札幌市では、3年から10年満期の市債を発行しております。
 なぜ、市場公募債を提案するのかは、先に繰り上げ償還を切り口に話をしますと、政府債については不可能に近い、縁故債については困難を要する。つまり、償還自由度が殆ど無いというのが実情です。それならば、公債費における償還利子の一部を市民に還元したらどうかということで、市場公募債を提案しております。又、先のシンジケートには手数料収入という形で、リスクの少ない公平な利益分配を市内金融機関に対し、行うことができます。更には、最近の個人向け国債の販売実績をみても住民のニーズは高いと思われます。
 ここで質問ですが、市場公募債について当局の所見と採用検討の可否についてご答弁をお願いいたします。

 つぎに大きな2こめ質問です。小さな1項目めのですが、徴収率については、県下の平均が97.7%で、当市は97.9%で平均値を上回っている。第10位ではあるが、標準偏差の高い正規分布の中で平均値を上回っていることは、努力は必要とするが、一定の評価は頂けるのではないかとの事でした。これにつきましては了解といたします。
 次ぎに徴税コストについてですが、こちらの方は私が想像していたものと違った結果だったので再質問をいたします。選択した10市との比較でご答弁を伺ったわけですが、人口・世帯あたりの職員数、人件費共に平均に達していないということです。当局は適正な値と答弁されました。確かに適正な値かもしれませんが、改善を要する数字ではないでしょうか。例えば当市と10市の平均の差に当市の世帯数と人口を乗じてみると、それぞれ約7000万円、5000万円という数字になります。つまり、10市との平均に近づけることによって、数千万円の経常経費が削減できる可能性があるわけです。施政方針のなかにも全庁をあげて経常経費の縮減を図ると、なっておりますので、これを政策課題とすることはやぶさかではないと考えますがどうでしょうか。
 その際に、徴税コストを縮減することを切り口に政策課題とするのではなく、徴税業務全体の合理化・効率化といったことを切り口に、例えば電算化への移行推進とか、納税のPRの方法とか、職員の業務環境など、総合的な観点から改善を図り、結果として徴税コストの縮減ができるよう誘導すべきと思いますがどうでしょうか。
 次ぎに小さな3項目めですが、安易な税金逃れの容認と生活困窮者への過度な納税催促には、関連法令に基づき適正に対応しているとの答弁でした。安易な税金逃れの方は、プロフェッショナルである税務職員の実践経験によって摘出され、時効消滅にしないような手段をとっているとの事なので、了解といたします。再質問の中でお聞きしたいのは、生活困窮者に対する対応です。過度な納税催促には、適正に対応しているとのことですが、生活困窮者かどうかの判断が非常に難しいように思われます。又、措置としては、@地方税法に基づき3年間続いた場合の滞納処分の執行停止。A課税の消滅。をあげておられました。措置の方は3つ目として、減免による不納欠損処分があるように思うのですが、ここで質問いたします。
 まず、生活困窮者といわれる住民の方の担税能力の判断をどの様にしているのか。そして、その措置として、滞納処分の執行停止、課税の消滅、減免などの方法があるかと思いますがどの様に対処しているのか?そして、判断と措置において、現在課題として考えられる事項はないか、あるとすればどの様な展望を持っているのか伺います。
 こられに対応することにより先の徴税コストの縮減に繋がらないかとも考えておりますので小さな2,3項目を合わせて回答されても構いませんので宜しくお願いいたします。

御殿場市二回目答弁(杉田企画部長)
 適債性における、国と市の間の相違についてお答えします。
 国の起債計画の中で示されている適債事業については、一部の赤字特例債を除いて、ほとんどが、投資的事業である建設事業が対象となっています。事業別に見ますと、国の補助金を受けて実施する補助事業については、補助対象部分が、ほとんどが適債事業となりますが、補助対象とならない部分や市の単独事業については、起債対象外となる事業が多く存在するところです。
 一方で、地方財政計画の中で、地方の財源不足に対し、毎年、起債により補てんすべき総額が、起債計画で示されていることから、適債事業であっても、当市が望む水 準に比べ、充当率や起債可能額の面で制限される事業があるのが実情です。世代間の公平性の観点から、将来にわたる応分負担の適当性を考慮しますと、補助事業で、補助対象とならない部分を含めて、単独で行う建設事業についても、それぞれの自治体の状況などを考慮した中で、適債性の範囲の拡大、充当率や起債可能額の制限緩和などを望んでいるところです。
 次に、市場公募債についてお答えします。
 これまで、市債の借入先としましては、財政融資資金などの政府資金、公庫資金および銀行等からの縁故資金で対処してきたところですが、国の財政投融資改革等により政府資金等の供給が将来的に減少していく方向が示される中で、最近になり、地方債許可方針が改正され、市場公募債に加えて、住民参加型のミニ市場公募債など資金調達の多様化が図られております。
 このような状況の中で、ミニ公募債は、市民の皆さんが、市の事業に自ら資金を融通することを通じて、市政にさらに参画していただき、協動で事業を進めるという意識の醸成や高揚が図られるなどの観点もありますことを考慮すると、今後の選択択肢の一つであると認識しております。
 しかし、実施に向けては、対象事業をはじめ、引受機関等、さまざまな検討課題がありますことから、昨年12月には、担当職員を研修会に出席させるなどの対応を図っておりますが、今後も、将来にわたる当市の起債計画全体を見据えた上で、採用等の可否を含めて、検討していきたいと考えております。

御殿場市一回目答弁(渡辺総務部長)
 徴税コストの改善について、との御質問ですが、当面の課題として認識しておりますことは、現下の厳しい財政状況等に鑑み、主要な自主財源としての市税の、的確な課税と徴収努力に基づく安定した収入の確保であります。
 そのため、徴収率の更なる向上の手段、方策として、平成15年度実施予定の、県への長期派遣研修等による、より高度な知識と技術を有した税務職員育成を初め、滞納処分や各種税務調査の円滑化と、滞納整理活動を充実するため、システム工学的徴税スキーム構築を目的とした、滞納者管理システム導入計画の具体的な進捗を図るほか、近隣市町との広域滞納整理組織の研究を進めることや、現年課税未納の早期解消のため、人員投入による短期集中型未納整理。夜間に加え、土・日曜日における訪問納税相談を随時実施するなど、市税未納防止と滞納額圧縮に向け、研鑚、努力と工夫を重ね、合理化や効率化を図る中で、市の規模や収納成果に見合った、市民に納得いただける徴税コストの改善が、果たされるものと思っております。
 2点目の、生活困窮者とされる納税義務者の担税能力の判断、についてでありますが、訪問や各種税務調査による生活困窮が明白、との判断は、実際に目にした生活程度を参考に、昨今増加傾向にある破産者情報や社会福祉の適用状況、就労状況、申告書等からの収入確認、預貯金調査等に基づき、客観的、総合的に行っております。この際の課題としましては、現在滞納者の情報確認や調査は人力によっているため、必ずしも効率的な処理とは言えず、それゆえ一部捕捉性や迅速性にかけ、ひいては最も基本である滞納整理活動を圧迫することともなっております。このため、前段申し上げた滞納者管理システムは、その導入効果として、職員1人当たり年間省力時間が100〜150時間と試算されるため、関係方面の理解を得ながら早期導入することが、焦眉の急となっているところであります。
 なお、滞納処分を執行することにより、その生活を著しく窮迫させるおそれがある、要するに生活困窮と認められたときは、滞納処分の執行を停止いたします。この場合には、差押はもとより、訪問による滞納整理や電話、書面での納税催促も差し控えることとなります。したがって、担税能力のない納税者対策は、その一端が制度的に図られており、また適正かつ有効に機能しているものと考えております。

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