04年03月一般質問ライブ(04/03/17)

 3/10に一般質問を行いました。一期目最後の一般質問が12/10でした。それからちょうど3ヶ月。再び、この壇上に立てる喜びをかみしめながら丁寧に質問を行いました。質問は2期目の重点公約とした「財政政策」です。詳細は下の全文をご覧下さい。

財政・行政分析ツールと行政改革大綱・実施計画について
質問

 当市は、行政評価制度の構築、財務諸表の作成など行政分析・財政分析については積極的に実施している。また、現在、行政改革大綱・実施計画も策定中であり、その姿勢は高く評価できる。しかし、行政分析・財政分析のツールを政策に意思決定(予算編成や3ヶ年実施計画など)に十分結びつけていないのが現状である。
 例えば、群馬県太田市では分析結果の数値の平準化やベンチマーキングを行うことにより、いっそうの有効活用を図っている。更に、行政改革実施計画に目標値設定や進捗管理を行い全庁あげて市民サービスの向上に努めている。以上の事項を鑑み以下の質問をする。

@当市の財政・行政分析ツールにはどの様なものがあり、政策の意思決定に結びつけているのか?また将来的な展望は?
Aそれらのツールを現在策定中である行政改革大綱・実施計画に結びつけるのか?

答弁

@財政分析ツールとしては、起債計画、経常収支比率見込み、自主財源見込み、バランスシート、行政コスト計算書などがある。行政分析ツールとしては事業別予算、行政評価制度などがある。しかし、これらツールが政策の意思決定への連動や市民への公表などのシステム化に至っていないのが現状である。今後は、ベンチマークをはじめとする企業経営的手法などを検討し、総体的なシステム化を図って行く。
A行政改革実施計画の中で、これらのツールを処方箋的なものとして活用を図りたい。更にはそれをマネージメントする組織である「地域経営戦略会議」の様なものを設置し、成果主義を基本として進行管理を図って行きたい。これらの改革に取り組むことで、自己決定・自己責任の原則に基づき、市民と協働による自立的で効果的な行政運営を推進したいと考えている。



まずは、私の一回目の質問から

 一般質問をさせていただきます。昨年12月の議会で財政分析ツールについて質問をいたしました。その質問においては時間的な制約があり終了としました。しかし、本事項は今後の御殿場市政運営の中で重要な位置づけと認識しておりますし、更に申し上げるのであれば市議会議員として2期目のスタートを切るに当たり、この重要課題を質問のテーマとして選択いたしました。
 質問の主旨を申し上げます。当市はここ数年来、行政評価制度の構築、財務諸表の作成など行政分析・財政分析については積極的にそして他の自治体に遅延することなく実施しております。トレンドを的確に捉え、適時に実行している。高く評価できることですし、その姿勢を誰も否定することはできないと考えております。しかし、ここで、あえて苦言を呈するならば、それらの行政・財政分析ツールを十分活用しているかどうかというと、残念ながら「そうではない」と思います。
 その理由を2〜3の事例をもって指摘いたしますが、これは、前段申し上げておきますが、当局を批判をする事を目的としたものではなく、あくまでも議論を行うための投げかけであり、質問における序章と考えて下さい。
 昨年、当局は財務諸表を公表されました。バランスシートと行政コスト計算書。当初、私はバランスシートについて懐疑的に考えておりました。地方自治体が、資産、負債、正味資産を計算し、アウトプットとして何がでてくるのだろうかと。年次(各年度)、それを作成したとしても投資的経費が存在する以上、それぞれの規模は増大して行くのは当然ではないのか?こういった理由から、バランスシートの効用には懐疑的な所見をもっておりました。
 しかし、その財務諸表の中にほんの一部ですが2つの手法を採用していたことにより、バランスシートの必要性の重大さに気づいたわけです。2つの手法とは、平準化とベンチマーキング。資産、負債、正味資産を一人あたりという数値に平準化する。そして、それを市町村類型の類似団体と比較(ベンチマーキング)を行う。結果として御殿場市民一人あたりの資産は154万円、類似団体は113万円と36万円上回っている。更には、正味資産においては御殿場が114万円、類似団体が81万円と33万円上回っている。この結果を見て、当局の方々は過去の業務実績を改めて確認すると同時に、安堵の念をもったかと思います。
 更に、それと同時に、このバランスシートという財務分析のツールの拡張性にも気づいたかと思います。例えば、有形固定資産でいえば総務費、民生費などの各款ごとにデータを積み上げてあるはずです。それぞれの款ごとの平準化とベンチマーク。更には、その款を細分化し構成するデータベースの平準化とベンチマークを行えば、御殿場が不足している、或いは過剰である有形資産が何であるのかが把握でき、将来御殿場として削減あるいは投資すべき事項の方向性が見えてくるのではないでしょうか。一つの例を話しましたが、バランスシートにおいて、その機能を十分に活用されていない、つまり政策の意思決定に結びついていないことがいえるかと思います。 この件に関しましては、昨年12月の議会で私や他の議員の質問に対し、「システム化や政策への連動が必要ということを認識している」という答弁がありました。当局も十分認識を持っていると、理解している中で述べております。
 もう一つ例をだしますと、行政評価制度。昨年4月に中間報告がありました。コンサルタントとも円滑に連携し、オリジナリティーのある展開方法には賛同できます。がしかし、政策評価の指標の設定のあり方、事業評価における個々の事業の再構築の方法や次世代での事業展開の方法など、まだまだ検討の余地はあるように思えます。
 総じて、申し上げるならば、これらのツールとして、財務諸表や行政評価、事業別予算、法令で義務づけられている公共施設等調べ、決算カードなどがあるかと思います。問題点として、これら個々のツールの拡張性を十分に生かし切っていないこと、また、それぞれのツールの連動性が欠如している等のことがあげられます。
 そして、政策の意思決定(意思表示)方法としては、総合計画や3カ年実施計画、予算編成、また更に政策を具現化する緑の基本計画や健やか生きがい計画などのアクションプランがあるかと思います。これらの個々の拡張性や連動については及第点を取っているかと思いますが、いかんせん行政分析・財政分析と政策の意思決定のリンクが欠如している気がしてなりません。
 ここで質問を3項目いたします。
1.現在、御殿場市が実施している行政分析、財政分析に利用しているツールにはどの様なものがありますか?
2.現在、それらのツールをどの様に政策の意思決定に結びつけていますか?
3.将来的に、それらのツールを政策の意思決定に結びつけるためどの様なシステム化を考えていますか?

 そして、最後の4項目めを質問いたします。今年の当初予算が発表され愕然としたことがありました。三位一体の改革が暫定的といえども具体的な数値になって、地方自治体に突きつけられました。補助金の一般財源化、地方への税源移譲。言葉は非常にきれいに聞こえます。今まで国庫支出金だったものが所得譲与税という形で一般財源化され、地方に譲与されることとなりました。この理念については、なんら依存はありませんし、地方分権推進における理想的な手法と評価できます。しかし、従来国庫支出金だった項目をみると、児童手当事務交付金、公立保育所運営費国庫負担金、など、市民生活に密着したものであった。更には、国が特別な事由を認めた場合に補助される国庫補助金なら多少は理解できる。しかし、法令においてその負担を義務づけられている国庫負担金にまで触手を伸ばしてきている。更には、その額、国庫支出金であったときの積算が2億2000万円。一般財源化されて所得譲与税と名を変え1億4000万円。つまり、8000万円減額されております。一体、こういった中で地方自治体はどうやって、行政運営を実行すればよいのか?8000万円あれば、幼稚園の教室が複数、即座に建設できるだろうし、小中学校でサタデースクールも開催できるかもしれない、消費生活センターの相談員も増員できるかもしれない。暫定的にとはいえども、今年は、8000万円であったものが、来年は1億、再来年は2億、4億といったように、次年度以降不安を残す要素であることはいうまでもありません。
 更にいうと、普通地方交付税交付団体には、これら減額分が基準財政需要額に算定され、不足分は補填されますが、こと御殿場市におきましては数少ない不交付団体であるため、その恩恵にもあやかれないですし、地方自治体の大部分が交付団体ということを考えると、各自治体からの不満の声も少ないだろうと予測されます。
 もっと、いうのであれば、所得譲与税が基準財政収入に算入され、見かけ上各自治体の財政力指数は上がるであろうし、経常一般財源に算入されることにより見かけ上、経常収支比率は下がり、数字だけ見れば三位一体改革によって地方の財政基盤が安定したと、いう結末になるでしょう。しかし、実状は、当市においては8000万円の財源の喪失です。政府による数字のマジックに絶望感に近いものさえ感じております。
 今まで、この三位一体改革を楽観視していたことに自己反省しながらも、それに相反するとは思いますが、こういった状況下でさえ、自ら治めなければならないという地方自治の立場に立って、あえて、行政改革大綱及び実施計画について質問をいたします。この件については、昨年9月に、ある議員により一般質問がされました。それによると、
1.行政改革大綱と実施計画の二本立てであること。
2.課長クラスで構成される策定部会、そして一般有識者で構成される懇談会、そして部長クラスで構成される推進本部という順序で策定される。
3.内容については、行政が懇談会に丸投げすることなく、7つの柱で構成している。
4.16年度から20年度までを実施期間としている。
5.今年の6月議会までには公表したい。
と、いった内容でした。この答弁内容については何ら、異論を申し上げることはありません。ただ、先に申したように、三位一体改革が予想以上の早さで、規模で地方自治体に向けて迫りつつあります。そうした中で、先に申し上げました行政分析、財政分析ツールと政策の意思決定の一つである行政改革はよりいっそうのリンクが必要です。連動が必要です。そうした前提の中、4項目目の質問です。
 政策の意思決定の重要な項目として行政改革大綱・実施計画がありますがが、これらのツールをどの様にそれに反映させますか?以上、質問といたします。



御殿場市一回目答弁(杉田企画部長)
 1点目の、現在、実施している財政分析、行政分析に利用しているツールの現状について、お答えいたします。
 まず、財政分析につきましては、その目的・背景には長期にわたり、財政の健全性を維持して財政運営を行っていく必要があります。そのためには、財政分析のツールといたしまして、4項目の計画を立てております。
 一つ目は、歳入の面から見た、自主財源比率がありますが、この度の三位一体の構造改革など、地方への財政対策がますます厳しくなる状況下で、市税を中心とする自主財源の確保について、見通しを立てております。
 二つ目は、起債計画でありますが、当市では、今後10年先を目安に、義務的経費として後年度負担となる、公債費の抑制と起債残高の縮減を目標に、毎年度、起債計画を立てております。
 三つ目は、以前から議員に御指摘をいただいております、財政の硬直化を防ぎ、弾力性を維持していくための、経常収支比率や、投資的経費の見込み計画があります。
 四つ目は、今年度から企業会計的手法の導入により、作成しましたバランスシートや行政コスト計算書があります。
 次に、行政分析につきましては、従来からの節別の管理から、事業を中心とする考え方に立った事業別予算を導入し、活用しているところであります。こうした背景の下に、行政評価につきましては、平成14年度から事業評価の取り組みを行っておりまして、今年度、更にレベルアップを図り、公表に向けて対処しているところであります。
 次に、2点目の、これらのツールと政策の意思決定についての現状でございますが、それぞれのツールを総体的に分析・判断して取りまとめ、財政見通しに反映した上で、3か年実施計画や予算編成を行っているところであります。例えば、市税を中心とする自主財源につきましては、地方への財政対策が、ますます厳しくなっている中で、収納システムの充実等により、市税収入の確保を図りながら、政策決定をしていく上での財源の根底として、あらゆる計画策定の中に反映させているところであります。
 起債計画につきましては、国が指導している借入額と元金償還の均衡・いわゆるプライマリーバランスを考慮した借入額や償還額を把握し、3か年実施計画の基となる財政見通しを立てております。
 経常収支比率につきましては、健全ラインである80%以内を数値目標とし、経常経費の縮減に向けて、予算編成や執行時における全庁的な基本方針に掲げ、具体的な指示をするなど、反映させているところであります。
 企業会計的手法でありますバランスシートや行政コスト計算書につきましては、現状での分析はもとより、中・長期的な視野に立ち、資産と負債のバランスや資産形成における世代間負担の公平性、施策の方向性などの観点から、基本計画等において、活用してまいりたいと考えております。
 また、行政評価につきましては、現在、事業評価の普及・定着化を図り、今後政策評価へと結びつけられる様、行政評価システムの確立を目指しているところであります。
 次に、3点目のこれらのツールと政策の意思決定へのシステム化でございますが、現状につきましては、先ほど申し上げましたように、ツール別の計画は作成しているところですが、政策決定に結びつける正規な位置づけとしての、総合的な計画には至っていないのが現状であります。今後、行政評価システムの確立と合わせて、総合的な財政計画として位置づけ、システム化を目指して検討してまいりたいと考えております。
 最後に4点目の政策の意思決定の重要な項目として、行政改革大綱・実施計画に、これらのツールをどのように反映させていくのかについてですが、こうしたツールを総合的に分析し、判断要素として戦略的に政策に反映していくことが行革大綱の進行管理に不可欠なものであると認識しております。従いまして、策定中の実施計画の中で、そのツールの分析や用途を示した処方箋のようなもの、或いは、これを活用し、マネージメントする組織の設置などを網羅したシステムの検討を行っていきたいと考えております。


そして、私の2回目の質問へ
 再質問いたします。
 簡潔な答弁でありました。が、一定の評価をしたいと思います。只今の答弁を要約すると、行政分析と財政分析、それらが政策の意思決定に関連できるものは、現在でもそうしている。ただ正規なシステムとして位置づけられているかどうかというとそうではない。今後、総合的なシステム化を図って行く、ということでした。
 行政改革については、「進行管理は不可欠」「処方箋」「マネージメントする組織の設置」など今後の可能性が期待できる単語、言葉が答弁の中にありました。
 これらの可能性に一定の評価をしながらも、再質問を行います。再質問では1番〜3番を総括して、そして4番の行政改革を独立した形で行います。
 再質問に入る前段として、群馬県太田市の事例を説明させていただきます。この町の市町村類型はW−4、御殿場市がV−4ですから、類似都市ではありませんが、比較的特色が近い町ということがいえるかと思います。この町は行政改革の町或いはISOの町ともいわれております。この質問を実施するにあたり電話やメールで調査いたしましたが、先方の職員には快く引き受けていただき、職員の住民サービスへの意識の一端を感じた次第です。
 まず、この町の行政分析ツールとしては行政評価制度やISO9001、財政分析ツールとしてはバランスシート、行政コスト計算書。ここまでは当市と類似しております。特徴的なのは、特別会計のバランスシートや連結バランスシートまで作成している。更に、作成するだけではなく、各要素を細分化し分析し市民にわかりやすい形で公表している。また、政策の意思決定に結びつけるために、それらの分析結果を市民満足度というファクターを通して政策の意思決定に結びつけている。つまり、市民満足度をベンチマークとしていること、分析ツールから直接政策の意思決定に結びつけるのではなく、その間にベンチマーキングという手法を用いてること。これが大きな特徴です。一般的に、ベンチマークには市民満足度の他、政策評価指標、他の都市との比較など多様な種類があります。この太田市においては、まだ完全なシステム化とはいえませんが、ベンチマーク手法を使用し、行政・財政分析ツールの拡張性を引き出そうとしております。昨年12月の議会である議員も述べておりましたが、こういったツールの有効活用を思案したときに行き着くところはどうしてもベンチマーキングに行き着いてしまいます。
 そして、もう一つ特徴的だったことが、これらの分析結果を住民に対しわかりやすい単語で、文章で、図式で表現していること。今の時代は行政としては最小の経費で最大の効果を上げなければなりません。また、逆に住民も行政サービスに対し「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」を選択するべき意識を持たなければならないことを理解していただく必要性がでてきております。これらの行政・財政分析ツールを住民に分かりやすく公表することは、住民意識の醸成に有効であると考えられます。
 ここで質問ですが、先ほどの2つの特徴、ベンチマーキングと市民への公表を考慮した中で、財政運営における今後のシステム化の方向性について質問いたします。大きな一つ目の質問です。

 次に行政改革について質問します。こちらも太田市の事例を前段で説明いたします。まず、策定までの組織ですが、市長・部長等で構成する推進本部が大綱と実施計画を策定する。その後は毎年各課が具体的な実施計画を策定、策定した実施計画を一般市民で構成する推進委員会へ諮り、市民の意見を聴取する、というようないわゆるトップダウン型の流れです。当市は逆にボトムアップ型ですが、組織体としては全くの同一形態です。
 特徴的だったことが、2つありました。一つが、実施計画において項目の追加、廃止、改訂などの機能があること。つまり、実施中でも何らかの事由がある場合、改訂や廃止ができること。更に、目標値管理と進捗管理を行っていること。この件に関し先方の職員に照会したところ、「計画とは作ることが目的ではない。実施する事が目的である。だから、追加、廃止、改訂機能があるのは当然のことである。」という答えが返ってきました。全くもってその通りで、これらの機能があれば時代の変化に柔軟に対応することができます。昨年9月の議会である議員が一般質問したときに、「平成8年(前回)の行政改革大綱は日の目を見なかった」というような発言がありました。申し訳ありませんが、私も同じ見解です。前回の大綱はいわゆる突進型であり、状況の変化を受け入れる機能を持っていなかった。ここに失敗の原因があったといっても過言ではないと思います。
 もう一つの特徴として、実施計画の項目に経費削減だけではなく市民サービスの向上の項目も含まれていること。具体的には、市場公募債である「太田市民債」の発行、生活弱者への図書館から図書の配達、児童への英語教育の実施などです。この件に関し同じく先方の職員に照会したところ、「行政改革とは経費の削減だけでない。行政を市民の視点で自主的に見直す必要がある。行革を広く捉え事務の効率化や市民サービスの向上も取り入れている」という答えが返ってきました。
 私は、これから出て来るであろう行政改革大綱の内容について異論を唱えるつもりはありません。ただ、実施計画において、それが有効に機能するように質問します。答弁の中にもあった「進行管理」「処方箋」「マネージメント組織」、そして今例に出した太田市の二つの特徴。これらを総合的にどの様に勘案し、実施計画を策定して行くのか質問いたします。大きな二つ目の質問です。以上再質問といたします。

御殿場市二回目答弁(杉田企画部長)
 システム化の方向性についてですが、これまで財政運営を進めてきた中では、特に、ベンチマークという言葉を掲げ、意識した使い分けは、行ってきませんでした。
 しかしながら、今、地方自治体には、民間企業のような経営的視点に立脚した効率的・効果的な行政運営や、施策事業の選択・重点化、そして市民への説明責任の向上が求められております。議員も、大田市の事例を挙げておられますが、これからの行政においては、政策レベルを、ベンチマーク手法などにより、市民と行政が協動で作り上げていく、つまり指標という共通言語により、市民と行政の会話のキャッチボールが促進され、更に戦略構想へと結びついていくことは、望ましい姿であると認識するところでございます。一例で申し上げますと、当市では今年度、企業会計的手法を取り入れた、バランスシートや行政コスト計算書を作成し、これまで市民が、住んでいる地域の整備にあた将来的にどのくらいの負担があるのかなどを、市民に公表したところであります。また、議員、御指摘のベンチマークと市民への公表という面から捉えますと、部分的ではありますが、正味資本や世代間負担の割合など、類似団体との比較分析については、指標基準を含めた判断手法であり、ある意味では、ベンチマーク手法を取り入れた分析を行っております。
 しかし、更にバランスシートを一つのベンチマークとして捉えるなら、他の自治体例えば、市民への公表において、単に総務省方式ではなく、将来に引き継がれる財産市民に判断していただくことは、今後、必要になってくるものと認識しているところであります。
 ただいま、一例で申し上げましたが、当市では健全財政を維持していくために、いくつかの計画により、目標を設定し、3か年実施計画の基になる財政見通しなどに、反映させております。現状では、それぞれのツールごとに、定めた目標値に対して、継続的に実績値と比較し、より健全でかつ効率的な財政運営を目指して、分析を行っておりますが、市民への公表や総体的なシステム化には、至っていないのが、実情であります。今後におきましては、地方自治体の本来の目的が、住民福祉の増進を目的とするといま、求められているベンチマークをはじめとする企業経営的手法などの検討をしてまいりたいと考えております。
 次に二点目の、行政改革について、実施計画に対する取り組みの基本姿勢を申し上げ、お答えとします。大田市の実例は、大変参考になります。先方の職員の方のおっしゃるとおりであり、「計画は、作ることが目的でなく、実施することが目的」と解するものであります。また、同時に計画の中にある実施事業レベルに至っては、トレンドに合致しなければ、その都度、追加や改定、或いは廃止といった変革をすべきであり、実施計画そのものの評価制度の導入も、検討してまいりたいと考えます。更に、実施計画は、単に、合理化や効率化と言った計画だけではなく、しっかりと、ベンチマーク的指標を示した、成果主義を基本に据え、進行管理をしていくと同時に進行管理にあたり、例えば、1回目の答弁で申し上げました「マネジメントする組織」を、更に、拡充した、都市経営戦略会議の様なものの必要性も出てくるものと思われますし、今回の行政改革では、行政の取り組みという部分から、市民と協動して取り組むということも、大きな視点で捉えていきたいと考えます。
 いずれに致しましても、この実施計画を行動計画として、将来の御殿場の礎になるとの意識を強く持ち、策定に取り組みます。

そして、私の3回目の質問へ
 三回目の質問をいたします。
 只今の答弁をお聞きして、大部分について了解といたします。特に、ベンチマーキングにつきましては過去からの先輩議員の質問などによりまして、ようやく市民権を得つつあるという感触を持ちました。更には、都市経営戦略会議など、今後の期待値を増大させるような言葉も出てまいりました。
 最後の質問になるわけですが、最後の質問は、市長に答えていただきたいと思います。市長は行政運営の理念として「市民の視点で..」と常々いわれております。賛同できる理念でありますし、この理念は普遍的なものであると考えております。つまり、もっと多くの首長がこういった理念をもって行政運営すべきと考えております。
 最初の質問で、三位一体の改革の話をしました。今年は、その初年度で総額4兆円の国庫支出金削減の内の1兆円の削減が実施されただけです。そして、次年度以降は、いまだその姿が見えず、危機感だけが地方自治体に忍び寄っているというような状況です。地方分権の時代といわれておりますが、三位一体改革や合併の推進などで、地方が淘汰される時代に入っている感さえいたします。いずれにしても、この先数年は地方行政に関わるものは、厳しい環境の中で行政運営に携わってゆかなければなりません。
 そうした環境下で、行政分析と財政分析、そしてそれに伴う政策の意思決定、更には行政改革について、市長としてどの様な意識をもって、どの様な方向付けをされるのか(既にしたのか)をお聞きして質問を終わります。

御殿場市三回目答弁(長田開蔵市長)
 国の「経済財政運営と構造改革の関する基本方針」のもと、地方分権による三位一体改革の推進に伴い、地方自治体には厳しい財政状況の推移が予測されております。  また、一部に明るい兆しが見られると言われている経済動向も、中々その姿が見えなく、年金や医療など、市民の日常生活に長い影を落とし続けています。
 加えて、少子高齢化対策、ごみを含めた生活環境対策、健康対策、活力再生が待たれる経済・産業対策、懸念される東海地震や富士山噴火などの防災対策等々、行政や市民生活に係る諸問題が山積しているのが現況であります。
 さて、行政運営に当たり、骨太の財政力の保持は最大の政策要素であり、財政分析ツールを駆使し、その構築に資することは当然のアクションではないかと考えているところであります。また、行政改革につきましては、行政の質の向上に向け、職員個々が自律的かつ不断に継続・反復しながら一過性のものとすることなく取り組みすることが、重要であり、そうした個々の取り組みを市の組織の体質変化へと結びつけていく事が必要と考えます。このためには、財政分析ツールや試行中の行政評価に基づく、歳出の見直し、歳入の確保などを行うシステムを定着化させ、健全財政の構築に努めたいと存じます。
 こうした行政の動きと連動し、市民や民間団体などと一体になって、役割分担を明確にしながら、ともに地域を構築する仕組みの展開が必要であると考えます。
 これらの改革に取り組むことで、自己決定・自己責任の原則に基づき、市民と協働による自立的で効果的な行政運営を推進したいと考えています。従いまして、「行財政改革」を推進し、将来都市像に向けた地域戦略プランとして、取り組んでまいりたいと思います。


※自己評価
 思えば、一期目の一般質問は財政指標、地方債、法定外目的税など市民生活から少し離れた、いわば空中戦の様な質問を行ってきました。2期目のスタートも原点に返る意味で「財政政策」をテーマにしましたが、そろそろ、市民生活に密着した、いわゆる地上戦に切り替える必要も感じております。今後、自分の政策表現スタイルのあり方を見直そうかとも考えております。

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