04年09月一般質問ライブ(04/09/30)

 9/22に一般質問を行いました。今年の三月議会が終ったとき、今まで主要テーマとしてきた「地方財政」を少し離れて、違うテーマに取り組んでみようと決心しました。以前から取り組んでみたいと思っていた社会保障政策に挑戦することにしました。市町村が一番関わりが深い社会保障政策は市町村国保であり、今回の質問のテーマとして選びましたが、大変苦労しました。それは、質問するに当たり、書籍を購入しようと思いましたが、国保に関する書籍が非常に少ないのです。結果として、会社の健保担当者や国会議員の政策秘書など、ありとあらゆる所から情報を収集し当局にぶつかって行きました。しかし、初めてのテーマということもあり、論点を絞りきれなかったことが反省点です。それでも、新しいことに挑戦した心地よさはありました。

御殿場市における国民健康保険事業について
質問  当市の国保被保険者は約27000名で、今後、ますます被保険者数や会計規模共に増えて行くことが予想される。@当市の国民健康保険運営における理念は何か?
 全国において保険税の年間平均値が一番低いところで19,200円、高いところではは116,650円と6倍以上の格差が生じている。こういった中で当市の保険税設定方式について質問する。A現在の方式(保険税/四方式/旧ただし書き)方式にした理由は何か?B保険料/市町村税方式にすれば累進制になり、中低所得者の負担が少なくなると思うが見解はどうか?C国保の広域化は財政基盤強化のための有効手段であるが、当市は広域化を推進するのか?D一般会計の法定外繰り入れは他の保険加入者との公平性を考えると慎重に行うべきと考えるが当局の見解は?
 保健事業費において、人間ドッグのニーズが高いと思われる。 E誰もが、いつでも、近くで受診できる体制になっているか?
答弁

@市民が健康で明るく暮らせる社会を維持し増進していく上で、国民健康保健制度を将来にわたり安定した運営の確保に努めていく。
A広く浅く課税でき、多くの加入者の負担、低所得者の負担軽減などを考慮したことである。
B市町村民税額方式の採用は、前提として旧ただし書により算定することが困難である市町村とされている。本市は基準に該当しないので採用は適当ではない。
C国の「国保再編・統合推進委員会」にて、ガイドラインづくりが進められているが、現時点では、関係者間で意見の隔たりがあり合意に至っていない状況である。
D従来、政策分として1000万円の繰入を実施してきたが、医療分と介護分の積算の根拠を明確にして対応している。
E現在ではそういった体制が整えられていないため、今後関係団体と調整する。



まずは、私の一回目の質問から

 一般質問をさせていただきます。質問の主題は「御殿場市における国民健康保険事業について」です。国保事業については過去から先輩・同僚議員からの質問が多々ありました。それらの意見に対し同調できる事項、そうでない事項がありますが、今回、私自身の着眼点から質問を致します。ちなみに私は国保ではなく、組合管掌健康保険です。当局の皆様は地方公務員共済組合に加入していると思います。今現在は私も当局の皆様も国保と生活上の関係は無いかと思いますが、将来的には国保に加入することになると思いますので、真摯な議論をしたいと思います。
 平成15年度決算時、当市の国保被保険者は27000名余、14000世帯余になります。また、決算額は15年度歳入調停額レベルで初めて60億を突破し、65億超に達しました。今後は高齢化や定職率の低下により、ますます被保険者数や会計規模共に増えて行くことが予想されます。良質の医療を誰もが等しく受ける体制を整えることが医療行政の役割とするならば、医療保険制度はそのソフト面を担い、言うなれば医療保険の担当者、市町村の国保担当職員は被保険者の命を預かっているといっても過言ではありません。更には一般会計のように総計予算主義に基づくものとは会計の性質が異なっており、翌年度の医療制度の見直しや流行性の疾病などを予想し歳出を見極めた上で歳入を決めるといった流れです。一般会計とは逆の流れになり、ある意味特殊な会計となっているため担当職員にとっては負担の大きいものであることも理解をしておりますし、それと同時に職員の腕の見せ所も多い業務でもあります。
 そうした中で過去の議会での国保に関する質問・答弁を振り返ってみますと、国保特別会計の健全財政運営には重きを置いているものの、被保険者の負担軽減に対しては、悪くいえばそっぽを向いているような、そんな気がしてならないのです。「加入者が相互に助け合い制度を維持する」つまり、財政健全化に主眼をおきすぎ、「良質の医療を、安価な保険料で」という受益者擁護の立場に立っていないような、低所得者擁護の立場に立っていないような気がしてなりません。
 ここで、大局的な質問をさせていただきますが、当市の国民健康保険運営における理念は何でしょうか?財政健全化だけでしょうか?負担軽減についてはどういうふうに考えているのでしょうか。大きな一項目目の質問です。
 次からは歳入と歳出に分けて質問を致します。まずは歳入からです。
 全国的な見地から紹介するに、平成14年のデータでありますが、鹿児島県のある村では年間保険税の平均値が19,200円、北海道のある町では116,650円と6倍以上の格差が生じております。国民健康保険法やこれに基づく通達などにより、地方公共団体が決定できる裁量は少ない中でさえこういった格差が生じております。こういった格差を目の当たりにすると、我が御殿場市の保険税設定状況はどうなのか適正なのか、そうでないのか検証する必要性を感じております。
 保険税の設定方法は、所得割、資産割、被保険者均等割、世帯別平等割で構成する四方式、順次要素を減らしてゆく三方式、二方式、これら三種類の中から、いずれかを選択することになっております。又控除においては旧ただし書き方式と本文方式があり、どちらかを選択することになっております。御殿場市においては四方式で旧ただし書き方式を採用しております。本件については過去の議会で「広く浅く課税でき、多くの加入者が負担することになるため」との答弁を伺っておりますが、再度この場で、何故現方式を採用し、現在どういった所見をもっているか、また、応能割への税率及び応益割への係数を設定した経過についても質問いたします。2−@の質問です。
 次の質問です。先程の質問に関連するかとも思いますが、地方公共団体は保険税方式か保険料方式のいずれかを選択できることになっております。保険料方式にした場合、先程申し上げた3つの方式の他に、都道府県税方式や市町村税方式など保険料率設定の幅が広がります。又、保険税ですと時効期間は5年、保険料ですと時効期間は2年というふうに聞いております。そうした中で、当市では保険税方式を採用しております。保険税方式を採用することにより設定方法の選択の幅を小さくしていないでしょうか?更には時効期間が長いがために未納入者を深追いしすぎて逆に経費をかけすぎていることは無いでしょうか?保険税方式の採用理由について答弁をお願いいたします。2−Aの質問です。これは、先程の@と統合して答弁していただいても構いません。
 保険料限度額は、各年度国からの通達により設定されているかと思います。平成15年16年は介護保険分も会わせ61万円と聞いております。1000万円の所得の人も、2000万円の所得の人も同じ61万円納めれば良い計算になります。国保税が本当に税なのであれば、その概念から逸脱している気がしてなりません。限度額を設けることにより、低所得者に負担をかける結果になっていないでしょうか?限度額に対する当局の所見を答弁願います。これは国からの通達と思われるので当局の所見で結構です。2−Bの質問です。
 次に2−Cの質問ですが、昨日の質問で本質的な部分は回答をいただいていると思われますので、簡単に致します。保健基盤安定制度により低所得者への減額が行われており、平成15年でいうと医療保険一般分でいえば4213名、総額約8500万円が減額されています。更には、応能・応益の比率を市独自で調整しておりますよということでした。今、申し上げた件について補足があればご答弁をお願いいたします。
 次に国庫支出金の内、財政調整交付金について質問いたします。過去の議会の答弁で「当市は、普通財政調整交付金の不交付団体である。不交付団体は県内では当市と富士市とだけである。だから、当市の国保財政は健全である。」といった内容を聞いた記憶があります。たしかに決算書を見ると平成15年度は交付団体になりましたが、平成14年度までは不交付団体でした。
 私の概念で申して大変申し訳ないのですが、国保の財政において、加入者数、収納率、レセプト再審査請求状況など、これらの要素を鑑みても、他市との優位性は見あたらないような気がしてならないのです。当市が不交付団体となっているのは、住民負担が大きいためでしょうか?保険税設定方法と関連はあるのでしょうか?2−Dの質問です。
 次に一般会計からの法定外繰入金についての質問です。これについては、ある公的な団体の文書の引用して、私の考えを紹介いたします。「国保制度においては単年度収支が黒字でも市区町村から多額の一般会計の法定外繰り入れが行われている場合があり、繰入額を省けば赤字となる保険者も多数存在します。この繰入額には、サラリーマンなど一般住民が納めた税金も含まれており、国保の被保険者以外のものが国保の赤字を負担していることになります。また、国保の被保険者本人にとっても保険料と税金の二重払いをしていることになります。不足額を埋めるため安易に一般会計の繰り入れが行われていないか、繰入額が年々増加していないか確認する必要があります。」と、このようになっております。つまり、安易に法定外の繰り入れをすることは望ましくありませんよと。こういった考え方からすれば、当市はこの内容を遵守し、慎重な体制で望んでおりました。過去の議会においても「国保運営は、国保税と国庫支出金で賄うことが原則である。法定外繰り入れは、納税者の理解が得られる範囲で限定的な使途・目的のために使って行きたい」との答弁がありました。大変格調高い答弁であったと今でも評価しております。
 私が、この場で法定外繰り入れに関し意見するのは、今まで議会であたかも法定外繰り入れを大きくするのが、議会の総意のようになっている感があったものですからあえてこの場で意見を申しております。
 ここから、具体的な質問になりますが、当局は平成14年まで、法定外繰り入れを1000万円に抑えてきました。それが、平成15、16年と2000万円に増額しております。先程、格調高い答弁と申しましたが、今後の方向性が分からなくなってきました。その件に関し、当局の考え方を答弁願います。
 そして、積算の根拠についても質問いたします。平成14年度以前は会計規模に関わらず1000万円と、いうなれば定額制といった方式をしいておりました。そして、平成15年度からは2000万円です。14年度以前と15年度以降の繰入額算出の根拠を教えて下さい。2−Eの質問です。
 次に大きな3項目目の歳出についてです。
 まず、総務費についてですが、私の手元にある資料では、歳出の中で占める割合の全国平均は2.4%になっております。当市は、2.0%程度であるため総務費においては適正な数値ということがいえるかと思います。この総務費における主要業務の賦課徴収、すなわち収納率について質問いたします。県下他市と比較し、優れている数値でしょうか?ご答弁をお願いします。3−@の質問です。
 次に高額医療について質問します。高額医療は決算書ベースで3億円程度、現金給付分だけを抽出すると2億程度になっております。対象人数は2000人程度と増加の傾向にあります。高額医療事業については各保険者からの共同事業拠出により安定した運営ができております。が、受益者から見た場合はどうでしょうか?高額医療はいうまでなく、被保険者が一旦医療機関に医療費を支払い、後日市の窓口に請求するという方式が採られております。こういった制度故、手持ちの現金が無いがために診療や検診をあきらめているケースなど、手持ちの現金が不足していることによる不具合の事例はないでしょうか?この事例をとらえることは難しいとは思いますが、どういった認識や所見をもっているのか答弁をお願いいたします。3−Aの質問です。
 次に保健事業費における、特に疾病予防費について質問いたします。人間ドッグ、総合健康指導事業、歯科検診など積極的に行っております。ここでは特に最近のニーズが高いと思われる人間ドッグについて質問します。個人レベルで総額34,000円の内24,000円を保険者が負担し、市民も安い経費で精度の高い検診ができて素晴らしいことと思います。がしかし、誰もが、いつでも、近くで検診できるような体制になっているでしょうか?他市と比較し十分でしょうか?受診期間や受診施設が限定され、市民が受益を得られないということはないでしょうか?3−Bの質問です。
 最後の質問です。保険給付費等支払準備基金は一般会計でいう財政調整基金の役割を果たしていると考えられるが、当市においての運用状況はどうでしょうか?残高は十分でしょうか?3−Cの質問です。以上質問と致します。



御殿場市一回目答弁(芹沢環境市民部長)
 はじめに、国民健康保険運営における理念について、お答えします。
 国民健康保健制度は、疾病、負傷、出産又は死亡を保険事故とする医療保険であり、国民皆保険制度を支える基盤的な役割を担っておりますが、国保は、高齢者や無職者など保険給付額が大きく、保険税負担能力の小さい者が集まる構造的な問題を抱えているため、状況的には厳しさが増していると考えております。国におきましては、このような状況を背景に、医療保険制度を持続可能なものに再構築するため、保険者の再編等の検討が進められているところであります。市としましては、国の動向に注視しつつ、市民が健康で明るく暮らせる社会を維持し増進していく上で、国民皆保険制度は必須なものであり、その一翼を担う国民健康保健制度は、将来にわたり安定した運営の確保に努めていく必要があると認識しているところであります。
 次に、国保税の賦課方式等についてお答えします。
 本市におきましては、所得割、資産割、被保険者均等割、世帯別平等割の4方式を採用しておりますが、これは、応能原則、応益原則を具体的に実現し、議員御案内の、「広く浅く課税でき、多くの加入者の負担」に加えて、低所得者の負担軽減などを考慮したこと、また旧ただし書き方式につきましては、低所得者が多い国保では、「本文方式」を採用しますと、所得割額を課税されるものが極めて少数となり、中間所得者階層の税負担が相当高くなることなどを考慮したためであります。4方式から、3方式、2方式への移行は、いずれも資産割を除外するということになりますので、低所得者・中間所得者階層の負担増となります。現下の社会経済状況では、現在の4方式が適当と考えておます。また、応能割の税率などの設定プロセスについてでありますが、医療費の推計と、これに伴う国庫負担金などの算定、保険料軽減額の推計、県下の他市の状況、改正案別の所得階層別の状況など検討して策定しました案を、御殿場市国民健康保険運営協議会に諮問し、答申を得た後、議会に提案させていただき議決をいただいたものであります。
 次に、保険税方式の採用理由についてお答えします。保険税方式は、徴収の根拠、徴収の手続などを、他の市税と同様に、地方税法に基づいて行いますことから、市として知識経験の蓄積があること、また税のほうが義務観念が向上して徴収が容易などのことを考慮して、採用したものと考えております。
 次に、限度額についてでありますが、国保税においても、他の目的税と同じように、応能原則の適用に一定の限度を設ける必要から、課税の最高限度額を地方税法で規定しております。各市町村は、その範囲内で条例で最高限度額を規定し、被保険者の負担の上限を抑える方法をとっております。したがいまして、この賦課限度額を超える条例規定は違法となります。賦課限度額未満の額を最高限度額として定めることは、違法ではありませんが昨今の医療費の増嵩の中で、最高限度額を抑えることは、低所得者層、中間所得者層の負担増となりますことから、本市では、地方税法に基づき、最高限度額を定めているところであります。
 次に、保険税設定において低所得者への配慮について、昨日の厚見議員の答弁に補足があればとの御質問についてでありますが、特にありませんのでご了承願いたいと思います。
 次に、財政調整交付金についてお答えします。平成15年度につきましては普通調整交付金が5,968万5千円、特別調整交付金が5,892万3千円それぞれ交付されております。
 次に、一般会計からの繰入額算出の根拠についてお答えします。一般会計からの、いわゆる法定外の繰入につきましては、従来「市長政策分」として1000万円の繰入を実施してまいりましたが、「市長政策分」としての繰入では、繰入の目的や趣旨が、不明確でありました。特に、この繰入金の財源が被保険者以外の市税も含まれておりますことを考慮しますと、目的や趣旨を明確にする必要があります。そこで、決算書の記載のとおり保健事業分は財政基盤が弱く、推進が困難なこと、介護納付金分は不足分を基金から繰入しておりましたがその基金の現在高がわずかとなり、不足が見込まれましたことから、それぞれ一定の算式で繰入することとしたものであります。算式でありますが、保健事業分につきまして、全体事業費から国庫支出金見込額を除いた2分の1相当額、介護納付金分につきましては、介護納付金見込額から、国保税介護分収納見込額、国庫支出金見込額などを除いた4分の1相当額であります。
 次に、収納率についてお答えします。本市の平成15年度現年度分の収納率は、92.78%でありました。県下の20市の平均は、92.00%で、順位としまして10番目でありました。次に、高額療養費が後日の現金給付のため不具合の事例はないかとのお尋ねにお答えさせていただきます。市では、従来から、福祉行政の一環として高額な医療費の支払が困難な場合に貸付する、高額療養費貸付制度を設けて議員が懸念されるようなケースに対応を図っておりますので、不具合などの事例は、承知していないところであります。平成15年度におきましては、3件の利用で、貸付最高額は90万円でありました。なお、この貸付制度におきましては、限度額は設けておりませんが、予算の範囲での貸付となります。
 次に、人間ドックについてでありますが、現在実施しております方法などについて、御意見・御要望が提起されておりますことを踏まえ、医師会と話し合いを進めておるところでありますので、御理解を賜りたいと思います。
 次に、保険給付等支払準備基金の運用状況、現在高等について、お答えします。はじめに、運用状況でありますが、平成15年度は、歳入・歳出の見込の中で2億2,000万円余を基金から繰入れるなど、国保運営に支障がないよう運用しております。平成15年度末の現在高につきましては、4億2,000万円余でありまして、国民健康保険保険給付等支払準備基金条例第2条で算定する目標額は、およそ10億円でありますので、6億円程度不足していると認識しております。


そして、私の二回目の質問
 再質問致します。
 まず、大きな一項目目の理念につきましては、質問を終わりと致します。「市民が健康で明るく暮らせる社会を維持増進して行く上で国民皆保険制度は必須なものでありその一翼を担う国保制度」といったようなコメントがありました。昨日の議会でも引用されていた様な気がしますし、普遍的な文言ではありますが、そのコメントをもって了とさせていただきます。また、国の動向において保険者の再編などが検討され、それを注視してゆく旨の答弁がありました。今後、国保については国の動向が大きなポイントになって来ることが予想されます。これについては、大きな2項目、3項目目の中で併せて質問いたします。
 次は、大きな2項目目です。
 過去の議会においても、保険税に設定については、多様な意見がされた記憶があります。その中には、財産区に対し不均一課税を賦課したらどうかといったようなこともありました。様々な意見が出されました。過去においては、提案する手法こそ違えども、保険税を適正化し且つ低所得者に優しい保険税を設定するべきといった考え方が多かったと思います。これは、私も全く同様の思いです。
 それでは、保険税設定の方法について2−@〜Cまで、それぞれ答弁の確認をさせていただき、質問は総括して行います。
 まず、当市は広く浅く課税することを基本としております。それを実現させるためには、四方式で旧ただし書き方式を採用することが適当です、といった答弁と理解いたしました。確かに全国の自治体の内89%が四方式、98%が旧ただし書き方式を採用していることを考慮すると適正な措置と言えるかもしれません。
 次に保険税と保険料の選択についてですが、地方税法に準じて事務執行ができることや義務観念の向上のために保険税方式を採用しているとのことでした。私は、この「税か料か」に関しては、賦課総額や保険料の減免において地方自治体に与えられた自由度について、それをどう活用するか議論したかったのですが、これについては、後ほど具体的な形で質問をさせていただきます。
 次に、限度額ですが、医療分の53万円、介護分の8万円。この限度額というものが、保険税の総額を抑えてしまい、低中所得者に過大な負担を生じる主な要因になっていると、私は思います。目的税であるから上限を設定することは妥当であるという当局の見解、限度額を超えて課税することは地方税法に抵触するという事実は理解できます。がしかし、この限度額の設定が地方自治体における自由な裁量を奪い、低中所得者に過剰な負担を与えている気がしてなりません。
 次に低所得者への配慮ですが、応能・応益割において標準割合の50:50に縛られることなく応能割合を大きくしている、との答弁がありました。現在は概ね60:40くらいの割合で、低所得者にも十分に配慮をしている。とこの様に理解いたしました。以上が、答弁の確認です。
 そして、先程、国の動向というような話がありました。社会保障政策におきましては、平成16年度の年金改革、17年度の介護保険改革、更に18年度に医療制度改革があるといわれております。いわれているというよりは事実そういった方向に進んでおります。
 ここで二つ質問を致します。今申し上げた18年度を視野に入れた中でも、現状早急という位置づけでも構いませんので、答弁をお願いいたします。
 まず、保険税設定についてですが現状の問題点として、応能割りに関わる部分に定率制を採用していること。私は、この定率制は所得などに課税する事にはなじまないと考えております。簡単な例で申し訳ないのですが、定率制とは所得100万円の人が30万円の税金を納めるのと1000万円の人が300万円の税を納めるのは同じ痛みという考えかたです。私は、これは税の基本から外れているような気がしてなりません。それが国保税においては、普通に採用されてしまっている。更には、生活する上の経費の控除が少ないこと。つまり、基礎控除しか認めていない旧ただし書き方式の採用。もっといえば、所得も資産もない人にも課税できてしまう均等割りや平等割り、国保税の設定方法を否定的な見地から評価するとその問題点が次々と現れてくるような気がしてなりません。
 そこで、私の試案ですが、所得割において市町村税方式を採用することを提案いたします。これは、保険料方式を採用していればこの方式は認められるはずです。これが採用できれば、税額の基本には累進制がひかれているため、低中所得者への課税が軽くでき、また、控除においてはただし書きではなく本文方式が採用できるはずです。この設定方法に関して、当局の答弁をお願いいたします。
 次の質問ですが、保険者の規模についてです。当局の方は既に情報を入手していると思います。国の動向といったのもこのことが含まれているように思うのですが、15年3月に、閣議決定された「健康保険法等改正に基づく基本方針について」という方針があります。これによると、国保については、「都道府県と市町村が連携しつつ、保険者の再編、統合を計画的に進め、広域連合などの活用により、都道府県において安定した運営を目指す」、となっております。保険者というのは規模が大きければ大きいほどその効力も大きくなります。ですから、この基本方針も積極的に推進するべきものと考えます。質問を具体的にしますと、市町村国保において、広域連合の設立についてどう考えるか、推進するのかしないのか、するとすればいつ頃をターゲットとするのか、これを質問いたします。
 次は、一般会計の繰り入れです。これは基本的に了解いたしますが、私は、国保に繰入金を入れること自体に反対しているわけではありません。それが法律に基づいた国庫負担金や県負担金更には法律によって定められた市繰入金であれば、何ら異論を唱えるつもりはありません。ただ、私が言いたいのは地方公共団体としての御殿場市と保険者としての御殿場市は性格を異にしている。異にしているとは、市民全員が被保険者ではない。故に法定外繰り入れを安易に増額することには同調できない、と言うことを申しているだけです。
 ここで、具体的な質問ですが、平成14年度まで市長政策分として1000万円を繰り入れていたものを、計算の根拠をきちっとしましたよ。それは大きく分けると保険事業費分と介護納付分で、それぞれにおいて、積算の根拠を明確にしたとの答弁がありました。ここから質問になりますが、例えば、保険事業でいいますと、税収の1%を目標にせよといったような通達も出ております。そういった観点からすると、法定外繰入金である医療分、介護分それぞれ今後どういった規模に変化してゆくことが予測されるのでしょうか?
 次に大きな3項目歳出についてですが、@とCについては終わりとします。
 まず、Aについて質問します。答弁にありました高額医療費貸付金制度は、大変良い制度だと思いますが、2点ほど問題を感じております。一点目が私の記憶では、高額医療費の発生件数が国保だけで2000件近くになっていると思います。それで、利用が3件というのは利用が少なすぎるような気がしてなりません。広報活動はしっかり行っているでしょうか?今後は(広報活動を)どうやってゆくのでしょうか?
 また、この事業は健康福祉部の事業ですが、本当にそれで良いのでしょうか?その理由は、国保以外の保険者において同様の制度を設定している保険者はありませんか?よく調査の上、健康福祉部でやるべき事業なのか、国保でやるべき事業なのか、平行してやるべき事業なのか検討をお願いいたします。当件についても答弁をお願いいたします。
 疾病予防事業については、不明確な答弁があったわけですが、こちらから言わしていただきますと、施設は市外の施設ですね。また、受診期間も1ヶ月程度の特定な時期であり、だれもが、いつでも、近くで受診できる体制にはなっておりません。結果として受診者が200名程度、つまり1%にも達していないことが市民にとって受診しにくいと言う事実を現しているかと思います。
 他市の例をあげますと、市内の受診期間に出向き人間ドッグを受診し受診料を支払い、後日助成部分を国保窓口に請求する現金給付方式や同じく市内の契約受診施設で受診し窓口で本人負担部分だけを支払う現物給付方式などを通年で行っております。
 ここで質問ですが、関係団体との整合が必要と言うことですが、今後の計画を具体的について答弁をお願いいたします。
 以上で、再質問を終わります。


御殿場市二回目答弁(芹沢環境市民部長)
 国民健康保険税の所得割の算定方法としては、地方税法で、旧ただし書方式本文方式、市町村民税所得割方式の3方式だけが認められ、本市においては中間所得者階層の負担の軽減を考慮し、旧ただし書方式を採用しているところであります。
 一方、国民健康保険の保険料の所得割の算定方法については、国民健康保険法第81条に、「政令に定める基準に従って条例又は規約で定める。」と規定されているところであります。
 この「政令に定める基準」につきましては、国民健康保険法施行令第第29条の5に「市町村の保険料の賦課に関する基準」として定められております。
 この基準によりますと、議員御案内の、税率を累進性とする市町村民税額方式の採用につきましては、前提として、旧ただし書により所得割額を算定することが困難である市町村とされております。したがって、本市におきましては、施行令の基準に該当しませんので、この採用は適当ではないと考えております。
 次に、市町村国保における、広域連合の設立について、お答えします。議員御案内の閣議決定を受けて、国におきましては、平成15年5月から「国保再編・統合推進委員会」において、ガイドラインづくりが進められておりますが、現時点では、関係者間で意見の隔たりがあり、合意に至っていない、状況にあります。したがいまして、現在のところ、その動向に注視しているところでありますが、いずれにしましても、各市町村国保の間では、医療費の水準、被保険者の負担はもとより、一般会計からの負担や支援、収納率なども異なりますので、慎重かつ適切な対応が必要と考えております。
 次に、今後の保健事業分及び介護納付分の繰入について、お答えします。はじめに、保健事業分についてでありますが、健康増進法及び国民健康保険法に基づく、保健事業の実施等に関する指針が、本年8月1日より施行されました。この指針には、生活習慣病対策の推進、健康診査の結果を踏まえたきめ細かい保健指導の実施などが掲げられておりますので、本市におきましてもこの指針を基に関連事業の推進を図る必要がありますことから、保健事業分につきましては、前向きに対応してまいります。また、介護納付金分についてでありますが、介護保険制度について、国の社会保障審議会介護保険部会などにおいて、被保険者の範囲、保険給付の内容・水準などともに、介護納付金の負担のあり方について審議されております。したがいまして、現時点で今後の動きの予測は困難でありますので、御理解を賜りたいと存じます。
 高額療養費につきましては、被保険者の所得の区分にしたがいまして、一定の自己負担限度額を超えた場合に、超えた分が給付される制度であります。例えば、70歳以上の低所得者の外来の場合には、8000円が自己負担限度額でありますので、8000円を超えた分を給付することとなります。 平成15年度におきましては、最も少ない給付額は49円で、平均給付額は、86,000円余でありましたことなどを考慮しますと、給付件数と貸付件数とは、必ずしも連動しないものと考えております。今後も、医療費の状況に応じた、貸付枠の確保と、制度のPRにさらに努めていきたいと考えております。
 また、高額医療費貸付金の担当についてでありますが、「高額療養費の支払に困窮する者に対し、資金を貸付けることにより、その経済的自立を助長し、その世帯の安定を図ること」を目的としておりますこと、生活保護制度など他の福祉施策との連携などを考慮しますと、福祉サイドが適当と考えております。
 次に、疾病予防事業(人間ドック)の関係団体との調整など、今後の具体的計画について、お答えします。市としましても、滞納のない被保険者につきましては、原則として、だれでもいつでも、そして近くの医療機関を含めて、複数の医療機関から選択でき、検査後において、きめ細かい保健指導のある、人間ドックの方法が適切と考えておりますので、これを基本に、関係団体と調整してまいりたいと考えております。現在関係団体と協議中でありますので、御理解を賜りたいと思います。


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