00年06月一般質問ライブ

00年6月の議会で初の一般質問を行いました。タイトルは「方針管理の導入について」と「企業会計方式の導入について」の2つの項目です。以下は質問及び答弁の要旨です。

「方針管理」の導入について 「企業会計方式」の導入について
御殿場市には、総合計画、年度施政方針、個々の事業計画があるが、これらが管理体系を整えているのか?又個々の事業の定期的な検討・見直しが行われているか?疑問を持った。 質問の背景 御殿場市は、「企業会計方式」を導入し、資産状況の把握や事業の利益成立性検証を実施しようとしている。これは、資産・事業状況の定量把握に効果的な手法であり、導入については賛成であるが、「調査」を、実施する際、それを検査・審査する工程が少ない事に疑問を持った。
現状の管理体系の整備状況、事業の定期的な検討・見直しについて質問を行い、民間企業で広く採用されている「方針管理」の導入を提案した。「方針管理」とは、進行・経費・設備・人員を明確に計画策定し(PLAN)、定期的にその実施(DO)状況をチェック(CHECK)し、必要なアクション(ACTION)をとる組織的な管理活動。又、「方針」は、各職階に順次具現化された形で展開する。 質問の要旨 先日「保育事業所の企業会計方式導入検討調査結果」が公表されたが、私が見た中でも2,3の疑問点がある。企業会計方式は有効な分析手法である反面、自治体のシステムに当てはめようとした場合、課題が多いのも事実である。そういった中、現状、御殿場市が考えている調査の「方法」や「結果」を、検査・審査する工程が少ないと思われる。この対策として第三者審査機関の設立を提案した。
「方針管理」は制度化することにより、ある意味では効果的な手段と考える。行政評価制度の中で検討項目として対応する。 答弁 御殿場市では外部監査制度導入調査事業を実施しており、第三者審査機関については、その中で検討する。

一応前向きの答弁をもらいましたが、具体的展開は平成12年度着手するとのことです。別の機会にその進捗状況について、又、一般質問をしたいと思います。
以下、全文を掲載します。

議場

まずは、私の一回目の質問から

大橋由来夫 一般質問をさせて頂きます。
 今回の質問は1−(1)方針管理導入についての当局考え方。1−(2)は、それに関連し、方針管理を使った人事考課制度の導入について。2項目目は企業会計方式施行の際、「調査」結果を審査する第三者機関の設立。全て、提案・提言型の質問になっております。

 「方針管理」の導入について。この質問の主旨は、御殿場市においてある事業を実施する際、どの様な管理体制で行われているか質問し、「方針管理」採用の可否を伺うものです。「方針管理」とは、民間企業で広く採用されている管理システムです。
 まずこの「方針管理」について説明を致します。関連書籍によりますと、「方針管理」とは、「会社の経営理念、あるいは中・長期経営計画に基づいて出された年度経営方針、これを社長方針とします。社長方針を達成するため、各職階=事業部、部、課がそれぞれの方針を調和し、整合した形で計画・策定(PLAN)する。そして実施する(DO)。結果の検討を行う(CHECK)。必要なアクション(ACTION)を取る組織的な管理活動」ということになっております。
 具体的な表現をしますと民間企業には、「経営理念、あるいは中・長期経営計画」があります。社長はそれを基に、年度社長方針を作成します。社長方針を受け、事業部は事業部方針を作成。更に、事業部方針を受け、部方針、課方針と各職階が順次より具現化された形で方針を作成します。そして、その構成要素としては、何を、いつまでにやるかの進行、いつまでにいくら使うのかの経費、必要な設備は、必要な人員は=いわゆる企業の人・物・金を明確にした年度方針を作成します。これが先ほどの計画・策定(PLAN)に該当します。それを実施(DO)します。更に、毎月(毎月というのがポイントです)、計画・策定通りの進捗になっているか?目標経費内に収まっているか?設備、人員に過不足は無いか?その結果の検討(CHECK)を行います。検討した結果、是正が必要な場合、再計画・策定を行い(ACTION)、PLANの部分に戻します。これらの流れを、それぞれのPLAN、DO、CHECK、ACTIONの頭文字を取り「PDCAを回す」と表現しております。
 簡単な表現をしますと社長も含め各職階が計画を紙に書き、毎月実施状況を記入、上司と共にチェックし、必要であれば計画を是正するという極めて単純な管理ツールです。これを施行するにあたりかかる経費は、それらを記載する紙の料金と、毎月、進捗状況を記入、チェックするときの工数=15分〜30分位と思いますが、その時の人件費。つまり、紙代と人件費、極めて少ない予算での施行が可能です。

 次に方針管理のメリットについて説明致します。
(1) 各部署及び各職階が行う担当業務、予算が明確になる。
(2) 業務遂行の際、各個人の目的意識の向上につながる。
(3) 進捗の遅れ、予算超過等に対し、早期発見が可能である。
等が、あげられます。簡単な例を述べますと、テレビ番組の企業ドラマなどで上司が部下に対し「なぜこんなになるまで報告しなかった?」とか、部署間の上司同士が「その業務はそちらの部署でやると思っていた」といった様な場面を目にすることがあるかと思いますが、これは方針管理を行っていない良い例では無いかと思います。

 これを自治体のシステムに当てはめて見ますと、経営理念、中・長期経営計画は市の総合計画に該当し、年度社長方針は市長の施大橋由来夫政方針に該当すると考えられます。しかし、ここから三役、部、課方針があるかというとそうではありません。各々の事業計画は独立した一つの事業ということになっております。但し、現状でも、個々の事業を施政方針にはめ込んでゆくと、結果として、殆どの事業が施政方針に当てはまり、施政方針の殆どが、埋めつくされると思います。つまり、私は、施政方針から一つの事業への展開が、管理体系を整えていないことを述べております。現状は、予算計画が主となり各部からの申請(要求書)に基づき、事業計画のヒアリングを市長又は助役が行っておりますので、こういった現状は仕方が無いと思いますが、管理体系の確立は実施して頂きたいと考えております。又先に申しました「PDCA」については、PLAN、DOの部分は当然行っておりますが、CHECK、ACTIONの部分は、おそらく実施されていないと想像しております。
 ここで、当市における、「事業管理」の課題を列挙しますと、次の様になると想像できます。
(1) 市長施政方針から個々の事業への展開が管理体系を整えていない。
(2) ひとつの事業を3役方針と仮定すると、その後の部、課方針が設定されていない。(どの部、課が何をやるのか、明確に文書化されていない)
(3) 毎月の結果検討、つまり、CHECKがされていない。是正が必要な場合の再計画、策定を毎月行っていない。又は、明確に文書化されていない。
等ということがあげられると思います。

 ここで、この「方針管理」を行っている自治体があるかどうか、調査してみたところ、ありませんでした。但し、「方針管理」と非常に類似した手法を使用している自治体が、以外に近くにありました。沼津市のプロセスマネジメント(経過管理)です。これは、市長のトップダウンで実施している様です。以下は、広報沼津でのその紹介文を抜粋し、朗読致します。

 4月から、市役所の主な事業について「プロセス・マネジメント」という新しい手法を導入しています。
 沼津市役所には14の部と60の課があります。プロセス・マネジメントは、それぞれの部署で実施している主な事業を指定し、年間の目標や進め方を4月の初めに決めて、毎月その進み具合を確かめていこうとするものです。そして、その確認にはそれぞれの部長が当たります。更に、企画部長はトータルマネージャーとなって、毎月全体の進行状況を把握し、必要なアドバイスなどを行います。
 結果は、その都度、市長に報告され、必要があれば関係する部長に改めて指示をすることになります。また4半期ごとに、担当の部課長から市長に直接ヒアリング形式で報告を受けることにしています。
 このようなやり方は、地方自治体ではおそらく初めてでしょう。プロセス・マネジメントを導入してまだ半年しか経過していませんが「部間の事業の連携が円滑になった」「毎月確認・評価を行うことで、事業の進行状況を的確に把握できるようになった」「関連する事務、事業が浮き彫りになり、期間の短縮や経費の節減が期待できる」といった声が、部課長から上がってくるようになりました。
 今後とも更に工夫を重ね、市民のためになるよう、より充実したものとしていきたいと考えています。
以上、朗読を終わります。

 このプロセスマネジメントは、一つの事業単位を対象としており、私が述べている方針管理とは各職階への順次具現化し展開するという点で異なりますが、参考になると思います。
 又、裾野市においても、「裾野市総合計画に関する規程」では、総合計画の進捗度のチェックが義務づけられており、企画部長がその任務に当たっているとの事です。

 ここで1つ目の質問です。
市長施政方針を受け、三役、部、課方針を行う「方針管理」の導入についてどの様に考えるか。どの様にとは、採用の可否をお伺いし、採用可の場合は、どの様な方法で実施しようとしているのか?採用不可の場合はその理由を説明して頂ければと思います。


御殿場市当局 次は、只今の方針管理に関連した人事考課の手法についての質問です。御殿場市の職員の昇任を行う際、「選考」という方法が採られていると思いますが、この際、職務を遂行する「能力」も「選考」の時の、ひとつの要素となっていると思います。能力を定量的に判定する方法として「方針管理導入による人事考課の明確化」を提言、説明をさせて頂きます。

 民間企業においても、人が人を評価する人事考課については、数々の試行錯誤を行っておりますが、最近報道番組でも「方針管理導入による人事考課」が紹介されており、注目されつつある手法の一つですが、これについて説明させて頂きます。
 まず、設定の方法ですが、各個人は、自部署の方針管理の中から主要項目を選定し、各個人の目標値を設定し個人方針とします。方針を持っていない係長以下は、課方針を受け個人方針を設定します。ここでいう目標値は、方針と同様に先に述べた人・物・金を明確にし設定します。更に、上司と相談の上、個人方針の難易度を設定します。難易度とは、方針の達成の難しさの指標で、通常5段階程度に設定します。以上が目標値設定の方法です。
 次に評価方法ですが、先に設定した目標値に対し、どの程度達成されているかを達成度とし、これも通常5段階程度になっております。この達成度決定の際は、必ず、上司と部下が面談し決定いたします。これは、上司の私的感情の挿入防止や、難易度設定に誤りが無かったかを検証をもするために行います。そしてあらかじめ決められている、難易度と達成度の対象表により評価を決定します。
 この手法のメリットは先に述べた、
(1) 能力を定量的に判定できる。
(2) 私的感情の挿入防止。
等のメリットがあります。

 方針管理導入ありきの質問になりますが、ここで2つ目の質問です。
只今述べました、個人方針設定による人事考課導入についてどの様に考えるか。どの様にとは先の1つ目と同様です。

 最後の質問になりますが、先般「保育事業所の企業会計方式導入検討調査結果」が公表されましたが、これを、見た上での、私の評価を述べた上で、質問致します。評価といいましても私自身過去の職歴において経理或いは原価管理業務に従事した経験が無いので、素人的な評価になるかもしれませんので、あらかじめ述べておきます。又、この企業会計方式は、利益成立性検証や資産状況の把握等に非常に効果のあるものと考えており、導入に関しては、賛成の立場であることも付け加えておきます。

 ここで、質問の範囲を明確に致しますと、すでに着手している2つの事業(保育事業所、学校給食)については、予算計上されているので、対象から省きたいと考えます。これ以降、企業会計を利用した「調査」等を行う場合を対象という前提で質問させて頂きます。

 まず、今回の導入検討結果をみての疑問点ですが2,3例をあげたいと思います。
 耐用年数=減価償却についてですが、減価償却累計率が機器・備品において非常に高くなっている。特に公立においては、95%迄いっている物もあり、一般的に言えば殆ど使えない状態になっていると推測できますが、実際の物は、おそらくまだまだ使えるのでは無いかと思います。つまり、減価償却期間を短く設定しすぎているのではないかと疑問をもちます。機器・備品におきましては、今回の調査の中では、資産としての割合は、小さいので数値としては目立ちませんが、資産として大きな割合を占める物でしたら、非常に目立つ結果になると思います。
 また、どこまでを減価償却対象とするのか、今回の検討では、建物、機器・備品を対象としており、選定に間違いは無いと思いますが、もっと複雑な事例が出てきた場合には、慎重に選定する必要があると考えます。一般的には、土地とインフラ(基幹整備)設備は、減価償却の対象から省くといわれておりますが、どこまでをインフラ部分とするかということも今後の課題になってくると思います。
 また、今回サービス指標の計測と言うことで、はアンケート調査を行っており、市民の満足度を吸い上げるには非常に良い試みとは思います。但し、指標の項目に不足やピントはずれな項目があった場合、正確なサービス指標の計測とは言えないと思います。今回のアンケート項目の選定については、私が見た限り、必要十分な項目が選定されていると思いますが、今後においても十分なご検討をお願いしたいと考えます。

 企業会計方式を評価した関連の書籍を見ますと、今、私が揚げた例の他にも、課題としてあがっている項目があり、それぞれの「調査」において、それぞれの問題が発生するのは、やむを得ないと思いますが、その個々の「調査」において十分な審査を行う必要があると考えます。
大橋由来夫 ここで、仮の話をさせて下さい。
仮に、「調査結果」を一つの新製品とします。また、「調査結果」を見る市民を顧客とします。現状、新製品を世に出すシステムは次の様になっております。製造者(メーカー)は、試作設計段階においては、設計審査、設計検証、妥当性検証等、製品が要求性能通り稼働するか、人に危害を及ぼさないか等の検証を行います。特に、設計審査においては、製品の開発に携わっていない社内の第三者が審査を行います。又、量産段階においては、中間検査、最終検査等を行い、顧客に引き渡します。又、顧客は独自の引き取り検査を行い、顧客の要求仕様を満たしていない場合は、引き取りを拒み、当然代金の支払いも行いません。又、顧客の引き取り検査の実施が難しい家庭用品、家電製品などは、PL法(製造物責任法)により、顧客の権利・身の安全が保障されております。このように、世の中の新製品は、数多くのフィルターを通り、顧客の手に渡されます。
 これに対し、現在、当局が考えている「調査」の方法・発表のシステムは、当局と委託団体が「調査」方法を決定。委託団体が「調査結果」を作成、それを当局が検査し、発表するという流れになっていると想像出来ますが、これでは、自己検査しか行っておらず、あまりにも、「調査結果」という製品を検査、審査するシステムが少なすぎるということは、明らかと思います。

 調査結果を新製品に例えて、話を致しましたが、「調査結果」は今後、当局の行政施策検討の際に、重要な判断材料となるものと思います。そうで、あれば、「調査結果」は、より精度の高い製品に製品に仕上げる必要があると思います。ここで、私からの提案ですが、「調査」方法検討、「調査結果」発表の際、第三者による審査機関を設けてはどうでしょうか。第三者とは、学識経験者、調査該当当事者、一般市民等が考えられます。この審査機関は、どの様な「調査」をするかという方法検討の際、その方法を審査し、又、委託団体より結果が出てきた段階で「調査結果」を審査する権利をもたせるというやり方は、どうでしょうか?

 ここで三番目の質問です。企業会計方式導入の際、「調査方法」及び「調査結果」を審査する第三者機関設立についてどの様に考えるか。どの様にとは、先の1,2番目と同様の意味です。

以上で1回目の質問を終わります。

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